タイ版 会計・税務・法務

第122回 タイにおける「外国人事業法改定(続報)」について

Q:以前話題となった外国人事業法の改定が今、進んでいると聞きましたが、どのようなものでしょうか?

A:昨年商務省から提案された改定が、この5月の閣議において草案が了承され、今後細目を詰めた上で実施に移される見込みとなってきております。  この事業法の改定は、昨年発表された際にもBOIのIHQ(当時)やTISOへの影響等が議論されました。その後、BOIのIHQ制度がIBC制度に変更されたこともあり、改めてこの改正について考察をしたいと思います。

まず、今回閣議了承された草案で外国人の制限業種から除かれるものとしては以下のものが挙げられております。 1)タイ国内にある関連会社への貸付

2)関連会社への建物・場所の賃貸業務

3)関連会社への会社運営・総務・市場開拓・人事・ITに関する助言とアドバイスの実施  昨年発表された草案に比べますと、1)の貸付においては貸付業務の対象となる企業がタイ国内と明確化されたこと、および、会計・法務サービスが削除され、3)に関してはよりアドバイスの色彩が強まったことが、変更点として挙げられるかと思います。

さて、上述の通りBOIのIHQがITCと共にIBC制度に移行しましたが、この新制度は対象事業にかかわる最低雇用人数が10名(トレジャリーセンターでは5名)となっており、少人数でグループサービスを行うことを想定していた外国企業にとって、利用が難しくなってしまった点は否めないかと思います。特に、IHQで会社を設立し、グループローンの中心拠点として利用を主たる業務として考えていたような会社様にとっては、それなりの人員を配置が要求されるIBC申請は難しいものとなったと思われますが、今回の改正が実施されれば、上記1)の緩和から、タイ国内に複数のグループ会社を有している場合には、グループ間での資金融通が容易になると考えられます。

また改正後は、もしグループ内に活動制限のない内資企業があれば(もしくは設立して)、その企業に資金を一旦集中した上で、外国為替法にのっとった上で、海外に貸付等を行うことも検討が可能かと考えます。

上記2)、3)については、特にBOIのTISOの申請を行わずとも事業が可能となる点で、より実務的にはメリットが大きいかもしれません。ただ、3)に関してはグループ会社に対する経理代行業務の提供(昨年の草案では会計業務と明記されていました)や、市場開拓について販売コミッション形式の事業が許されるのか等、より詳細な解釈指針の発表が待たれるところです。

今回の緩和処置は、BOIのIBC制度導入によって、サービス分野における外資の事業認可取得が困難になった中で、当初発表時点よりやや後退しているとはいえ、早期の実施が望まれます。

なお、本文書は一般的な検討を行ったものであり、個別のケースで問題が発生した場合には、多くの場合関連法規の検討や専門家のアドバイスが必要となります。そのため、本文書の著者及び所属先は、本文書の掲載内容に基づいて実施された行為の結果、並びに誤情報及び不備については責任を負いかねますのでご了承ください。

小出 達也 (Tatsuya Koide)

Mazars(Thailand)Ltd. ジャパンデスク パートナー

1987年京都大学法学部卒業。旧東京銀行入行。中小企業事業団 国際部、東京三菱銀行 マニラ支店(1997年12月から2001年3月)、同行国際業務部勤務(国際財務戦略業務)を経て、2005年4月に公認会計士資格取得。2008年からMazarsタイにおけるJapan Desk責任者に就任。国際財務戦略に関する豊富な実務経験をもとに、総合的な視点からタイにある日系企業の指導にあたって、現在に至る。公認会計士(米国)、公認金融監査人。

連絡先:02-670-1100; Email: Tatsuya.Koide@mazars.co.th

ホームページ:http://www.mazars.co.th/Home/Our-services/Japanese-Desk 

(2019年7月号掲載)

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