Hola! メキシコ日系進出通信

第12回 直近のメキシコ経済について

今回は、直近のメキシコの経済状況についてご紹介させていただきます。

・USMCA

トランプ米大統領が就任前から掲げていた、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉によって、2018年11月30日に新協定のUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)が当該3か国首脳によって署名されました。現在は、各国議会での批准手続きを進めています。発効については、2020年1月開始が有力です。

USMCAは、NAFTAと比較して、より米国有利な協定になることは間違いありません。しかし、メキシコ側としても改悪されたとの悲観的な印象は薄く、自動車部品の域内付加価値率の厳格化など、域外を排他して、域内連携をより高める新協定として受け入れられています。

・追加関税

2019年5月30日、トランプ米大統領が自身のツイッターへの投稿で、「メキシコからの全輸入品目を対象に6月10日以降、5%の関税を課す」と表明しました。さらには、メキシコを通過する不法移民の米国への流入が止まるまで、毎月5%ずつ段階的に引き上げる計画も併せて表明し、同年10月には最終25%になる可能性となりました。

仮に、この関税措置が発動されていれば、メキシコにとって米国は、金額ベースでの貿易構成比率のうち、輸出約 80%、輸入約 50%を占める圧倒的な最主要貿易相手国で、しばしば、「米国がくしゃみをすると日本は風邪を引く」という言葉を耳にしますが、メキシコの場合は、「米国がくしゃみをするとメキシコは肺炎になる」と言っても過言ではないほどに経済依存が強く、大打撃を受けていたことは間違いありませんでした。事実として、トランプ米大統領のツイッターへの投稿により、メキシコペソは急落しました。また、米国側にとっても、自動車や食品をはじめとした米国内で販売されるあらゆるモノが値上がりして、悪影響があることは明らかでした。

結果的には、6月7日夜にメキシコ側の提示した対策を米国が受け入れて、無期限の見送りとなりました。メキシコに拠点を構える、日系自動車関連企業の方々が安堵したことは言うまでもありません。

・その他

上述の追加関税の騒動直前は、米中貿易戦争の影響から、中国からビジネスマンの方々がメキシコへ多くいらっしゃっていました。現在は、追加関税の騒動直後なので、一旦は陰りを見せている印象ですが、これからは迂回貿易などを狙って、中国系企業のメキシコ進出が急加速する可能性があります。

次号では、タコスに代表されるメキシコの食文化についてご紹介させていただきます。

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