泰日工業大学 ものづくりの教育現場から

第61回『2018年8月新設の国際プログラム』

タイでものづくり教育を進める泰日工業大学(TNI)の例をもとに、中核産業人材の採用・育成について検討します。今回は来年8月開始するタイ・日本・アセアン・世界各国対象の国際プログラムを紹介させていただきます。TNIはこれまでタイ人対象のタイ語主体の学部・修士プログラムで、タイの中核産業人材育成に重点を置いていましたが、これまでの10年の経験をもとに、時代の要請に基づき、このコースを実施させていただきます。誌面の関係で、今回は国際プログラム全般的な案内と工学部で実施するデジタル工学の案内をさせていただきます。

TNIは、新時代対応の国際プログラムを提案します。泰日修好130周年を記念し、このプログラムを含む全新入生130人に奨学金を支給します。

  1.  グローバル化の新時代に対応する企業革新の3つのノウハウを英語で学べます。
  2. 日本人が外国人に説明しやすく、外国人に理解しやすい、「日本的ものづくり」ほか、有用な日本の考え方と方法を体得できます。
  3. アジア・アセアンのハブになったタイで多様な価値を学び、各国学生と交流できます。
  4. 英語でのコミュニケーションを学ぶ一方、またこれからのアジアを中心とした国際社会に必要な、日本語とタイ語を勉強する機会があります。
  5. 優秀な学生は奨学金を受けることが出来ます(日本人、外国人も対象です)。
3課程共通の特徴(順不同)
1.   学費・生活費(各年間12万バーツぐらい)は、日本や欧米諸国より格安です。

2.   各国学生が仲間になれる大学近隣学生アパートに住むことができます。

3.   開学10年にわたる実績を基に外国人が体系的に学べる日本的ものづくり、5ゲン主義など、TNI6つの中核価値を含む日本の組織行動・経営のエッセンスを学べます。

4.   英語、日本語、タイ語を実用的に身につけることができます。

5.   タイ・日本の代表的企業の専門家の指導を含めビジネス環境に即対応できる理論と実践を学べます。

6.   ロボット開発、学生フォーミュラ大会、語学、音楽、ムエタイなどのスポーツ、日本文化など、学生の関心に対応した課外活動があります。

7.   タイの代表的企業・日系企業で実践的経験を体験できるインターンシップに参加できます。

8.   日本や世界への進学を支援します。

9.   タイや日本などでの就職を支援(ジョブフェアやウェブサイトでの就職機会を提供)します。

10.  20188月開始で次の3課程を提供します。申し込みなど詳細は、ウエブhttp://inter.tni.ac.thをご参照ください。

1)デジタル工学(DGE=Digital Engineering)

DGE学習の特長

  1. 電気、通信、コンピュータ、AI(人工知能)、新興技術に必要な多くの学問領域にわたる学際的カリキュラム。
  2. 「今後」のための工学教育と訓練:基礎知識から応用、製品の製作・開発、課題解決型学習(PBL)と日本的ものづくりの考え方に基づいたイノベーションを創造するための教室内外の学習。
  3. 快適な学習環境の中で、設計、製作、組立の指導と実地訓練、コンピュータハードウェア、ソフトウェアと制御システムの設置・統合について、応用技術の学習。
  4. インターンシップを通して、産業界やTNIパートナー企業のニーズに即した現場の課題解決能力育成。
  5. 英語、日本語、IOTについてコミュニケーション能力育成。

本課程は、電気電子工学、コミュニケーション、およびコンピュータ科学を含むいくつかの必須基本コースを学生に提供します。DGEは、(1)データサイエンスと解析学、(2)メカトロニクスとロボティクス、(3)デジタル産業の3つの主要な柱に分かれています。また例えば、人工知能技術、インテリジェントヒューマンーコンピュータインターアクション、産業ロボット工学、機械学習とデータ解析論、フォッグ・クラウド・コンピューティング、ビッグ・データ工学、システム統合、 モノのインターネット(IoT)などは他の大学との差別化と本課程の独自性のために設計された課目です。学生は、デジタル技術の知識とスキルに関心あるだけでなく、経済、スタートアップの企業家精神と技術革新経営に関する視点も持つことが期待されます。指導・学習方法は、課題解決型(PBL)学習方式です。

筆者 吉原秀男(Yoshihara Hideo)泰日工業大学(TNI)学長顧問

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