タカハシ社長の南国奮闘録

第97話 不況こそチャンス

世界的な不況のニュースがタイ国内でも報じられている。時代が移り変わっていくことが明確になってきた。タイも時代の大きな波に連動している。タイ経済は内需だけではなく輸出にも支えられているからだ。ジェトロの資料(2019年)によれば、特に中国への製品輸出が構成比20%とダイレクトに影響を受けている。 2020年の世界経済はどうなるのか。専門家の話はまちまちだが、おおよそ悲観的な意見が多い。経営側から見ると、ここはリスク回避をするために身をかがめるのが通常の策だ。しかし、この危機的状況の中で、ピンチをチャンスに変えるために私が実行していることを皆さんとシェアしたい。過去の経験から、私は以下7つのことを実行している。

①温めていた新事業のスタート。

②それにあたり、その事業はテクニアの本業から外れていないか確認。

③その事業の可能性は確実か、マーケットはあるか徹底的な下調べ。

④人の採用、人材の教育。

⑤必要な設備や工場余地の確保。

⑥そのための余裕資金の確保。

⑦新事業に対する思いや目的を社員にしっかり落とし込む。

まず不景気により受注が減ることが予想されるが、プラスに考えればその分、時間と余剰人員が生まれる。この時間と人を利用して新事業を始めるチャンスなのだ。もし余剰人員をリストラすると、景気が回復したときに元の体制に戻すのが難しくなってしまう。逆に、この時間と人手に余裕のあるタイミングで新事業を始めることで、社員のモチベーションを上げ、社内に新しい風を入れることができる。 新事業を始めるには、社員にしっかりとプロジェクトへの思いを伝え、目的を共有することが必要となる。目的が分からないまま経営者の考えだけで遂行しても、社員のモチベーションにはつながらない。経営者の独りよがりにならないよう、いかに社員に落としこむかが大切なのだ。 そのために今、社員一人ひとりと進捗情報を共有し、新事業に対する自分の思いを伝え、社員たちの意見を聞き出している。社員にプロジェクトの①~⑥を伝え、巻き込みをしておくことが、不景気で疲弊した社内に活気を取り戻すことになる。以前の私はこれを怠っていたため、社長の独り相撲になってしまい、せっかく成功した事業を社員の喜びにつなげることができなかった。 正直なところ、この先、景気がいつ回復するかはわからない。だからと言って回復を待つ間、何もしなければ会社は不景気に巻き込まれていくばかりだ。 ピンチのときこそ新たなことを始めていく。社員のモチベーションは、自分自身のモチベーションにつながる。こうして常に良循環を社内にめぐらせていくことが私の不景気対策プロジェクトだ。 現時点では、今年の不景気対策プロジェクトはまだ小さな火種だ。しかし、この小さな火種を周りに引火させ、形にしていくことが出来れば、テクニアにとって新たな第一歩になるだろう。この時が分岐点だったと言えるように、今は全力でこの第一歩に精進したい。

20年2月1日掲載

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