新ビジネスで時代の変化に対応 香港で1,400社の設立に貢献

香港のチャイナワールド・セクレタリー(華世秘書服務有限公司)は2003年の設立だが、過去の旅行社時代も含めると20年以上に渡り、約1400社もの日系企業の設立と管理業務に携わってきた。今は400社近い日系企業に「住所貸し」サービスを提供中で、同社の上園良一(うえぞの・りょういち)社長と私は20年以上の付き合いになる。青山学院大学経済学部を卒業した上園社長は日本での貿易会社勤務を経て、香港で仕事をしたいと考えて1989年4月に2度目の香港訪問。まずは日系旅行社で顧客(VIP)アテンドを担当し、1994年にチャイナワールド・トラベル・サービス(華世旅行社有限公司)を設立して中国ビザ発給、ホテル予約、航空券発券などの旅行業務に従事。2003年5月21日付でチャイナワールド・セクレタリーを設立し、旅行業と並行して法人管理業務に乗り出した。

――最近の香港の変化はいかがでしょうか?

上園 香港で20年以上、約1400社もの法人設立及び管理業務に携わってきて思うことは、生産工場や貿易を主とする会社もあれば、ノウハウを提供する会社、職人芸を提供する会社など、多種多様な会社があるということです。徹底的に利益追求する経営者がおられる一方、自分のやりがいを果てしなく求める方など、目的も千差万別です。

数年前までは、お客様に日本とアセアンや中国を繋ぐ「ビジネスハブ」として、香港は圧倒的優位な立地と低い法人税など、世界的な金融都市ならではの優れたビジネス環境を活かした提案ができましたが、近年は目まぐるしく変化し続ける世界情勢を踏まえて、従来以上のコミットに迫られて新サービスを相次ぎ開始しています。

――新規事業について説明してください。

上園 チャイナワールド・セクレタリーでは2019年からシェアオフィス業務に加えて香港での商品販路の拡大、マーケティング秘書と事務作業秘書の業務を開始しました。有能なコンサルタントの紹介、10年以上のマーケテイングサポートの経験から得た中国、香港の販路拡大セミナーの開催や展示会のサポートなども実施していくつもりです。

長年に渡って香港での法人設立とその維持管理を任されてきたが、これまでに培ったノウハウを通じ、顧客から相談されるさまざまなケースで対応可能なものについては、コーポレートマッチングサービスなどを提供していきます。

専用デスク付きオフィスも提供

新規部門である「M2B」コーポレートは「Meet to Business」をもじって名付けました。香港の地下鉄のライチーコックのC出口前にある「香港工業センター」のブロックC・4階6D室にこのほど多機能シェアオフィスをオープンしました。現時点で弊社は400社近い日系企業に「住所貸し」サービスを提供中ですが、何百もの机と椅子が用意されているわけではありません。しかし近年では、銀行で新たに法人口座を開設しようとすると、専用の机や椅子、秘書などの実態があることを銀行に証明しなければならず、香港ビザの取得についても実際に仕事をしているかどうか、香港政府機関による実態審査が厳しくなってきています。

このような動きに対応できるように、固定している専用デスク付き、コーワーキングオープンスペース付きなどいくつかのプランを用意し、何人でオープンデスクを利用するかで料金が変わる多機能シェアオフィスを開設しました。日本や中国に在住の日本人で香港での作業スペースを探している方、法人口座や香港ビザの取得を考えている方、サイドビジネスをしていて仕事場が必要な方、ネットワーク作りを検討している方、法人維持管理の経費を削減したい方などに多機能シェアオフィスを提供していきます。賃貸契約書が提出できるので法人口座も開設できます。サロンや各種イベントも開催し、情報収集の場にもしていきます。香港人のコンサルタントが隣の部屋にいて中国、香港への商品の販売に関して相談することもできます。

深圳国境にも多機能オフィス開設

さらに中国の深圳国境に近い上水駅前にも同様の多機能オフィスを開設することを決め、既に場所も確保しています。香港中心部からの地下鉄は中国国境から1駅手前で羅湖、落馬洲(中国側は福田)という2つの深圳国境に向けて線路が分かれます。その分岐点にあたるのが上水駅で、上水駅と香港の国際空港の間は、香港中心部を通過しない路線番号「A43」のバスによって最短距離で結ばれているため、深圳など広東省で仕事をしている日本人ビジネスマンは上水で乗り換えて国際空港に向かう人が増えています。広東省の工場から香港に日本からの急ぎの書類や荷物などを受け取りなどに行く際、上水で要件が済ませることができれば、丸一日仕事となる香港中心部に行くことに比べて所要時間を半減できます。

香港とも関係する中国人ビジネスマンによって上水はすでに重要な物流拠点になり、日本の大手専門商社なども既に数社以上が進出しています。上水ではすでに進出している香港人ビジネスマン向けにコンサルタント会社を経営している旧知の香港人と提携して、中国市場や香港市場でモノを売りたい日本人のサポートも共同で展開していきたい。

上水に近くオープンする事務所では、日本からの短期訪問者に中国に入ってすぐに使えるようにした携帯電話のSIM提供、深圳に本部がある中国のテンセント(騰訊控股)のウイチャットペイ(微信支付)というコミュニケーションアプリの設定などのサービス、中国での車の予約、接待や打ち合わせで使うレストランの予約代行なども引き受けます。

――2010年11月から3年間、セミリタイヤと称して海外を周遊しましたね。

上園 私の現在のテーマは「ビジネスと遊びの融合」で、モットーは「自分の発言に責任をもつこと」です。これからのライフワークとして2030年10月31日までに国連加盟国193カ国のすべてを回る目標を立てています。これまでに台湾を含めて85カ国を訪問できました。4月にはエチオピア、ジブチなどアフリカの国々を回るつもりです(「193カ国制覇 旅ブログ」www.chinaworld.com.hk/tabi/)。

インターナショナルスクールに通う息子から「お父さんの英語の発音は良くない」と指摘されてしまいました。そこで私は寝る時間以外はすべてネーティブの先生の特訓を受けるフィリピンでのハードな数日間の英語研修に向かいます。

――これまでの顧客はすべて口コミだけで得てきたそうですね

上園 HSBCから口座開設サポートでの功績が認められて、毎年のように表彰されています。毎月2、3回、開催場所を変えながら当社の顧客対象にランチミーティングを開催しています。顧客間の情報交換を図っているもので、異業種で多様な顧客の経営者から「新ビジネス機会が創出できる」「視点を変えて問題解決の糸口が見えた」などと感謝されています。

チャイナワールド・セクレタリーの社是は「きっちり、迅速に、責任を持って対応」で、顧客ニーズを徹底的に「聴く」ことです。「聞く」ではありません。顧客の成功のための的確なサポートに全力投球を続けたいです。香港在住30年になりますが、より多くの人に我々の事業を知ってもらい、香港の経済発展にも貢献したいと考えています。

会社情報

会社名 China World Secretaries Ltd.
住所 香港九龍尖沙咀金馬倫道48號中国保険大厦11/F,C室
お問い合わせ先 Tel:(852) 3118-7136 E-mail:uezono@chinaworld.com.hk
担当者名
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