タイ初!1本からでも販売します! ねじの総合検索サイト 「ねじレオ・ドットコム」を開設

世界のモノづくりを支えるねじ専門商社「阪神ネジ」のタイ法人「HANSHIN NEJI (THAILAND) CO.,LTD.」が、9月1日からタイの市場で産業用ねじの検索サイト「nejireo.com(ねじレオ・ドットコム)」を開設する。ねじの調達で悩んでいるタイの製造業を応援、貢献したいという思いがその動機。スタート時は約900種類、60,000アイテムを取りそろえ、順次拡大していく方針だ。タイのねじ市場が大きく変わっていく可能性がある。

1件の注文がきっかけ

きっかけは、2017年9月に同社にあった1件の注文だった。東北部ナコーンラーチャシーマー県(コラート)郊外にある旋盤を取り扱うタイメーカー。この初めての客から、六角穴付きボルトM5-165のねじ等、3種計12本を購入したいというオーダーが寄せられたのだった。  日本では、普通にあるねじの一つ。「タイでは日系市場を除いて流通していなかったとはいえ、コラートから遠く離れた、うちのような知らないねじ屋で、なぜ買ったのか気になって」と同社代表の山里憲一郎氏。8本のねじを袋に入れ、片道400キロを車で5時間以上掛けて自ら配達に出向いた。  応対に出たタイメーカーの担当者は、来訪をひどく喜んで、これまでの経緯についても語ってくれた。それによれば、阪神ネジ(タイランド)を知る以前は足の長いねじを工場内で削り、製品に合わせて都度、加工していたことを知った。品質は一定せず、ムラが出るのは仕方がないことだと諦めてきたということだった。

探すという発想もなかった

それ以降、気をつけて伝票を見てみると、同じような地方の企業からの注文が少なくないことに気づいた。東北部コンケーン県、北部チェンマイ県、南部ソンクラー県にプーケット県。タイでは市場で流通されていないのに、そのねじがなければ製品が組み立てられないものばかりだった。  しかも、コラートの事例同様、従前までは自社で内製してきたというケースがほとんどだった。ワッシャーを一つ一つ手作業でねじに組み合わせている工場もあった。だが、そもそもがねじメーカーではないから品質は不均衡。どうしても不良品が出るとのことだった。潜在的な需要の存在を改めて実感した。  日本では100万アイテムに上るねじが、1本から注文・販売できる仕組みが確立しているというのに、この違いは何だろう。流通していないことが当たり前とされていて、探そうという発想もなかったらしい。ねじで困っているタイ企業の力になることはできないものか。こうした山里氏の思いが、今回のねじレオ・ドットコムの開設の出発点となった。

ドイツの展示会

だが、構想は直ちにはまとまらなかった。仕組みをインターネットに求めるところまでは思いついたものの、当然に自分ではサイトは作れない。資金もかかる。タイのIT業界に知人もコネもなかった。日常の業務もあって、そんな状態が1年半ほど続いた。  転機となったのが、19年3月にドイツで開催された展示会ファスナー・フェアへの出展だった。タイから出張した山里氏。大量に印刷物を用意して配布するつもりだったが、あっけなく肩透かしをくらった。欧米市場では既にネットカタログやネットからの注文は当たり前。スマートフォンでQRコードを読み取る客がほとんどだった。ねじレオ・ドットコムの原型がここに見えた。  タイに帰国後、IT専門の社員を新たに採用。タイ法人設立時からの右腕だったタイ人営業Nuttapol氏を現場責任者とするプロジェクトチームを発足させた。ウェブサイトの制作委託先も間もなくコンペで決まった。タイのモノづくりを変える新たなプラットフォーム作りがこうして進んでいった。

カテゴリを細分化

ねじを探す客は、速やかな納品を求めるモノづくりの「プロ」が多いだろうという想定から、検索欄のカテゴリ構成を細分化して、ピンポイントで結果が表示されるようした。ねじの材質や表面処理は二の次で、長さや径から目的物を探す客もいるだろうと、外形の寸法だけで検索が掛けられるようにもした。  納期についても、ヒットしたねじごとに明示される仕様にした。タイ法人で在庫を持つものについては即納が可能。日本から取り寄せるものについても、デイリーの航空便を利用することで大半のものは3~5日で納品可と表示することにしている。「いい物を安く、早く」をウェブ販売でも踏襲する。  サイト名の「ねじレオ」は、ねじとタイ語の「レオ」(早いの意味)を組み合わせた造語。社内で投票に掛けたところ、最多を占めたことから決まった。「タイ語を採り入れることで、タイの顧客を意識したサイトということも伝わる」と山里氏。「この仕組みがうまく行けば、タイ以外の国々でも同様の仕掛けができる」と将来性についても語った。  ウェブサイトにはチャット機能も導入する。ねじ検索で困った利用者の声に即座に対応して、活用を促進させる考えだ。フェイスブックなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)と連動させることで、新製品の紹介やねじのノウハウなども伝えていきたいとする。  山里氏がタイ人スタッフらと登場するユーチューブ動画も、サイト内に順次掲示していく予定だ。ねじの正しい使用法や強度・耐久性についての話題など、映像を使った分かりやすい情報発信を心がけたいとしている。  「ねじレオ・ドットコムは、ただねじを販売していくというだけではなく、知り合った顧客と直に会うためのきっかけ作りという側面が大きい」と山里氏。「そのためなら、どこへでも出かけますよ」とも話す。「顧客のモノづくりに貢献する」というスローガンが揺るぎないことを感じさせる一言だった。

9月23~26日にBITECで開催されるサブコン展示会に出展する。ブースではnejireo.comの紹介もあり(ホール:103、ブース:P50)

 

20年9月8日掲載

会社情報

会社名 Hanshin Neji (Thailand) Co., Ltd.
住所 99/78 M.10 T.Nongkham, A.Sriracha, Chonburi 20230
お問い合わせ先 TEL : 038-348-290 FAX : 038-348-492 e-mail : ken_43@hanshin-neji.com
担当者名 山里
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