加工応用技術センターをバンコクに開設 ラヨーン県にサービスオフィスを設置へ

東台精機(嚴瑞雄=イェンロイション=董事長)は1969年に日本人技術者の吉井良三氏によって台湾で創設された。2003年から上場。台湾の本社工場ではMC(マシニングセンター)が全生産の半分を占め、残る半分はNC旋盤が25%、PCB加工用の穴あけルーターが25%ほどの比率で生産している。

1986年にアイシン精機(対象機種:MY-1形MC)、日立精機(後にDMG森精機が吸収)と技術提携、1995年からは日立精機と資本技術提携も結んでいる。その後も日本の桐生機械と技術提携、独自の技術を持つ台湾の立型旋盤メーカーである栄田精機とも戦略的提携を結び、東台精機が52%の資本を保有。2015年にはフランスのPCI-SCEMM社、オーストリアのAnger Machining社を相次ぎ買収し、自動車関連部品を中心とする加工機の製造販売でグローバルなネットワークを構築した。2005年以降、航空機部品向けなどの大型5軸加工機を手掛ける亜太菁英に全額出資してグループ会社にした他、航空機の部品を製造していた上場企業の漢翔航空工業とは戦略的覚え書きを締結し、次世代の航空機開発を共同で進めるなど、航空・宇宙産業向けにも力を入れ始めている。2011年には日本法人の東台精機ジャパンを設立。東台精機の機械販売を日立精機出身の日本人社員に一任して行っている。

グローバルに展開するT-TAC

東台精機のタイ法人であるトンタイマシナリータイランドは1991年に設立。昨年9月にバンコク郊外に新社屋をオープンさせ、今年11月3日には嚴董事長のほか約120人の来賓を迎えて加工応用技術センター(T-TAC=Tongtai-Technical Application Center)のオープニングを盛大に祝った。

嚴董事長は「T-TACの完成を機に、これまでのような機械販売だけでなく、顧客や関連の人を対象とする教育、訓練活動に力を注ぎたい。そしてタイの顧客とウィンウィンの関係を築いていきたい」と挨拶した。来賓の駐泰国台北経済文化事務所の童振源(チェンユアントゥン)代表(台湾の大使にあたる)は「台湾を代表する工作機械メーカーとしてタイに寄与して欲しい」などと挨拶した。

嚴董事長はT-TACをスタートさせた狙いについて「タイではこれまでに東台精機は約1,000台の販売実績があるがその6割がタイの日系企業向け。今後はアフターサービスに加え、ビフォアーサービスにより力を入れていきたい。東台精機は日本人が台湾で創業した会社であり、日本に法人も構え、本社には2人の日本人技術者がいて、日本の技術を取り入れ、タイなどで現地化を進める日系企業のニーズに素早く応えられる体制を築いてきた。生産効率の点からタイで機械を生産することは考えないが、台湾から出荷する機械にタイで何か付加価値をつけて最終納入するといったことは想定している」と語った。また、中国の台頭、為替変動などから「価格競争で今後も安心できる状態にはないが、ビフォアーサービスに本腰を入れることで日本の大手メーカーとの差別化を図りたい。当社は日系だけでなく欧州の顧客も多い関係からドイツの国家目標である“インダストリー4.0”の動きや、工程を集約して段取り替え時間を短縮する欧州の生産性向上運動からも注意深く学んでいる」と語った。

T-TACは「顧客アプリケーションの積極的な処理」を目的として、タイだけでなくグローバルに展開している。2015年に本社がある台湾の高雄市に設置したほか、これまでに中国の広東省シンセン、マレーシアのクアラルンプール、スイスに開設し、タイは5カ所目にあたる。T-TACでは顧客企業が抱える問題を解決するための高度な加工技術を、優れた操作性、高い稼働率、メンテナンス性の高さ等と一緒に提案している。そして顧客企業の競争力を高めることに貢献し、顧客とWin-Winの関係を築いていくことを目指している。タイのT-TACには実機として東台精機のMCが4台とCNC旋盤が1台導入された。

トンタイマシナリータイランドの陳彥銘MDは「機械の商談を進める際には、事前の技術的な打ち合わせや顧客が適切な設備が選択できるように、ショールームや試削するデモができる機能を持つことが不可欠です」と力を込める。T-TACでは(1)加工プロセス、ワークチャックの設定などを含めた製品の試作、(2)既存の機種に革新的な技術と付加価値を追加してソリューションを提供する加工技術、(3)アプリケーションから整備まで、設備での直面する問題の解決について総合的に診断、(4)潜在的な顧客、代理店、教員、学生、従業員を対象とする教育、訓練の提供、(5)新製品、新技術の発表会を行い、関連のハード、ソフトウエアアプリケーションを統合してより高い加工効率を顧客に提案、などのサービスを提供していく。教育・訓練活動では当面は台湾の本社からスーパーバイザーを交代で招き、上記の活動をサポートしてもらう。同時に日本人アドバイザーによってタイ人従業員の訓練も進め、「近い将来にはタイ人のエンジニアがT-TACを訪問した顧客らを教えることができる体制を作りあげていきたい」と陳MDは構想する。教員や学生などへの教育・訓練の提供は有料となる模様だ。

タイ政府のEEC開発計画に期待

東台精機ではタイに進出後、3台のCNCも導入して顧客向けに実演や試験加工なども実施していたことがあった。しかし、1997年にアジア通貨危機が発生して、急速に経営環境が悪化。そこでデモ用に導入していた3台の機械は売却し、既に販売した機械のメンテナンスを中心とした活動に絞るなど、タイの事業を縮小した時期もあった。だが、2000年を境に顧客企業からの新規の注文が増え始め、2012年頃から新しい事務所を作ることも検討し始めたという。

陳MDによれば、タイでの売り先は自動車産業が約6割で残る4割は家電、バルブ、建機や農機など。日系企業の顧客が約6割強で、あとは台湾、タイの華僑系、欧米企業。欧米企業向けではアルミホイールメーカーと交渉中という。販売している機械は「MCと旋盤(立て、横)が半々の比率で売れています。MCは一度当社の機械を買ってくれた顧客は次回も当社のMCを買い続けて下さるという傾向があります。旋盤の顧客でも旋盤を買い続けてくださることが多くてありがたいです」と陳MD。MCの販売は自動車業界が多く、建機の部品加工、建築用バルブ加工向けなど向けに立て型旋盤の販売が好調だという。

トンタイマシナリータイランドは独立した5階建てのビルを保有している。現在の社員は15人で台湾人が3人(サービス2人、営業1人)とタイ人は12人。「タイ人の定着率はきわめてよく、辞める人はまずおりません。多分本社と同じで、長く勤められる居心地の良さを評価してくれているのでしょう」と陳MDは話す。

販売体制については「タイの日系機械商社経由と、我々東台精機の直接の営業による販売が半々です。我々の営業は現在、私とタイ人という2人体制ですが近い将来には台湾人がもう1人入って3人体制となります」(同)という。T-TACもオープンしたため、販売目標に関しては現状の倍を達成するように求められている。陳MDは「まずは顧客への十分なサービス体制をさらに構築していきたいと考えています。安心して当社の機械を使ってもらえるようにすれば、自然と売上高も伸びていくはず」と見込む。

タイ政府ではラヨーン県などで産業の高度化を図るEEC(東部経済回廊)開発を進めている。東台精機でもラヨーン県にサービスオフィスを開設する。顧客企業がラヨーン県付近には多く、メンテナンス関係での依頼が増えており、「顧客の近くにいて素早く顧客の要望に応えられる体制にしたい」(同)と考えて進出を決めた。場所はアマタシティ工業団地の付近で既にオフィスを確保して内装工事も終わっている。「サービス担当の2人とセールス1人を配置する予定ですが、来年の年初には送る人を決めてスタートしたい。EECの開発計画には期待していますから、セールスの人員も配置することにしました」(同)という。

タイで販売している機械はすべて台湾工場から輸入。中国にも工場があるが、中国国内向けに販売されている。

 

Tongtai Machinery(Thailand)Co., Ltd.

36/30 Moo 7 Bangphli Yai, Bangphli, Samutprakarn 10540

Tel:0-2316-4708 Fax:0-2316-4711

担当:陳(Alex Chen、日本語可)

Mobile:081-822-3697

E-mail:alexchen@tongtai.co.tw

会社情報

会社名 Tongtai Machinery(Thailand)Co., Ltd.
住所 36/30 Moo 7 Bangphli Yai, Bangphli, Samutprakarn 10540
お問い合わせ先 Tel:0-2316-4708 Fax:0-2316-4711
担当者名 担当:陳(Alex Chen、日本語可) Mobile:081-822-3697 E-mail:alexchen@tongtai.co.tw
  • Facebook
  • twitter
  • line

関連記事