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タイで探る日中事業協力、ワークショップ開催

4月2日、日本貿易振興機構(JETRO)は中国国際貿易促進委員会(CCPIT)と共同で、日本と中国の企業のタイにおける事業協力を探るワークショップをバンコク都内のホテルで開催し、約300人以上が参加した。

日本の安倍晋三首相と中国の習近平国家主席は2017年11月に行った首脳会談で、経済協力の強化を進めていくことで一致。昨年5月には、日本の外務省、経済産業省および中国の国家発展改革委員会、商務部が第三国における日中民間経済協力に関する覚書を結んでいる。同年10月には中国の北京で日中第三国市場協力フォーラムが行われ、安倍首相、中国の李克強首相らも参加。その際、ジェトロはCCPITと第三国市場協力に関する覚書を締結し、今回のタイでのワークショップ開催となった。第三国での開催は初めて。

冒頭、挨拶に立った経産省の石川正樹貿易経済協力局長は「アジアは世界の成長の中心であり、毎年1.7兆米ドルのインフラ需要が生まれる。一方で、実際の投資は9,000億ドルに過ぎないと予測され、莫大な需要とそれに伴う多様な課題に一国の企業だけで挑むのは簡単ではない。日、中、タイの企業が競争ではなく協調することで、需要と課題の両方に適切に応えることが求められている。日本、中国、タイにとって長期的にウィンウィンウィンとなるプロジェクトを実現することが不可欠」と語った。CCPITの愈海燕副巡視員は「両国の企業がイノベーションを交換して交流を進めていくべき」と話した。

市場協力の候補地となったタイの東部経済回廊(EEC)事務局のカニット事務局長はEEC開発の現状を紹介。ドンムアン、スワンナプーム、ウタパオの3空港を結ぶ高速鉄道、レムチャバン港のフェーズ3開発、マプタプット港のフェーズ3開発、ウタパオ空港および周辺開発、ウタパオ空港周辺での航空機の保守整備(MRO)センターの5つの主要プロジェクトに関して、4月にも落札業者が決まると話した。また、日中タイの3カ国の協力をサポートする部署を設置することを明かし、「3カ国で協力すれば、リスクを最適な方法で抑えることができる」と期待した。

工業団地開発大手アマタコーポレーションのヴィクロム会長も登壇し、日本の横浜市などと協力して行っているスマートシティへの取り組みを説明した。アマタコーポレーションは昨年開催された日中第三国市場協力フォーラムで、日本のYUSA(Yokohama Urban Solution Alliance)、中国の江蘇嘉睿城建設とアマタシティチョンブリ工業団地のスマートシティ化に関する覚書を結んでいる。これはフォーラムに合わせて締結された52本の覚書の中で、唯一第三国の企業が参加したもので、日中協力のモデルケースとして注目されている。ヴィクロム会長は「私たちの工業団地はEECの中心にある。古くなった工業団地をスマートシティ化し、すべての工場をスマートファクトリーにしたい」とアピールした。

そのほか、日本通運やサントリー、フジタ、中国の建設機械大手三一重工や物流の德邦快遞など日中の企業によるプレゼンテーションやビジネスマッチングが開催された。半世紀近くの歴史を重ね、タイに深く根を下ろして来た日本企業。政府が一帯一路構想を進める中、各地でプレゼンスを高める中国企業。タイの地が両者協力の試金石となりそうだ。

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