タイで“みがき棒鋼のコンビニ”目指す 日本製の高品質な製品を提供

磨棒鋼の在庫販売を手掛ける交邦磨棒鋼センター(本社:名古屋市、古市正興社長)は愛知県、三重県、静岡県に計5拠点を構え、中部地区で地域に密着したサービスを展開している。この度、初の海外拠点としてタイのサムットプラカーン県にKOHO PRECISION BAR AND METALSを設立し、磨棒鋼のタイでの流通、拡販に取り組んでいる。8月23日には取引先商社、仕入先、銀行関係者、現地協力業者などを招いて開所式を行い、本格的な営業をスタートさせた。進出の狙いなどを聞いた。

産業集積進んだタイで拡販

磨棒鋼はダイスを通じて棒鋼またはコイルを冷間引抜加工した寸法精度の高い高級棒鋼二次製品。自動車や建設機械、電気、精密機器の部品などとして、幅広い産業分野で使われている。1971年設立の交邦磨棒鋼センターは磨棒鋼、冷間圧造用鋼線の大手で多くの自動車メーカーを顧客に持つ宮崎精鋼が親会社にあたり、製品の供給も受けている。自動車向けとそん色ない良質な製品を顧客に提供し、1,200種類という豊富な在庫と早ければ当日、遅くても翌日という地元に根差した即納体制で信頼を獲得してきた。かつては“みがき棒鋼のデパート”を標榜し、在庫の充実に力を注いでいたが、バブル崩壊などを経て、必要な時に必要な量が欲しいという顧客ニーズの変化に、切断加工に乗り出すことで対応。顧客の側での加工や寸法仕上げの手間を省き、定尺1本、切断品1個から手に入る“みがき棒鋼のコンビニ”という利便性を前面に出した販売スタイルで成長を続けて来た。一方で、今後の市場を長期的に見たときに、新たなチャレンジが必要になっていた。

なぜ、タイだったのか。扱う商材が細かくなるほど、売り先はエンドユーザーになっていく。分厚い産業集積がなければ、顧客が限られてしまうのだ。その点、日系の自動車メーカーらが長年生産を続け、裾野産業が広がるタイは“成熟市場”として、進出先に最適だった。2016年には3カ月ほどタイに市場調査に訪れ、サムットプラカーン県近郊のローカル企業、日系企業に飛び込み訪問もしながら200社ほど回り、情報収集した。

当時の市場調査にも参加したタイ法人の安井幸夫副社長は「日本では使っていたけどタイだと手に入らなかったり、種類が少ない。来てくれたら助かる、という話を聞きました。日系企業は日本材の要望が比較的強く、需要はある。努力は必要だけど、進出してまったくダメということではないと考えました」と話す。2017年にも再度、タイで市場調査を行い、その時にはより具体的に平角、四角への高いニーズをつかんだ。ローカルとの価格勝負になれば太刀打ちできないが、現在のタイには流通しておらず、顧客が日本からわざわざ取り寄せているものであれば価格競争は起きない。「さらに期待は上がった」(安井副社長)。

日本と同等のサービスを提供

9月時点で鋼種は普通鋼、S45C(中炭素鋼)、SCM415(低炭素合金鋼)、SCM435(中炭素合金鋼)、形状は丸、六角、四角、平角など合わせて600種類、計70トンほどの磨棒を在庫している。すべて日本から輸入した。丸鋸切断機、バンドソーをそれぞれ1基ずつ導入し、日本同様に切断加工にも対応。近隣地域を中心に営業訪問している。「日本でよく出ているサイズを中心に持って来ました。ただ、丸より平角の需要が思ったより多い。これからはもう少しリスクを負って在庫を増やしていかないといけない」(安井副社長)。

5S、社是を毎週社員全員で確認。納品する際は、切りくずやバリは取り、たとえ一個だけでもビニールの袋に入れて届ける。そうすれば顧客も手を汚さず、管理しやすいからだ。求められれば過去に収めた製品でもミルシート(成分分析表)を提出し、トレーサビリティを厳格に行うなど、日本と同等のサービスを進める。

当面は月間売上100トン、3年以内の単月黒字を目指す。「将来的には顧客の要望と提供方法がマッチすれば磨棒鋼以外の販売も検討していくことになるかもしれません」(安井副社長)。東部には日系企業が多く入居するアマタシティーチョンブリ工業団地(旧アマタナコーン工業団地)もあり、配達を考慮すると新たな拠点開設も考える。「今は、とにかく会社のことを知ってもらう、認知度を上げることが一番。その次に、売っていくために何をしていくか」。

今回のタイ進出に際して、「もし彼が居なければ、ここまでのペースで進まなかった」(安井副社長)というほど大きな役割を担ったのが、GMを務めるチュームサン氏だ。仙台で1年半ほど日本語を学んだ経験があり、日本語能力試験N2を保持。ふとしたきっかけから、交邦磨棒鋼センターのタイ進出を手伝うことになった。日本の本社で1年半ほど研修を受け、日本で営業にも同行するなど製品知識も備えている。2016年の市場調査時も、彼がいたからこそローカル企業へ飛び込み訪問ができた。チュームサンGMは「これまでは工事や設営、採用でいろいろ大変でしたが、今後はしっかりお客様の方をメインにしていきたい。タイでは磨棒鋼の平角などは珍しい製品と思われています。計画は3年ですけど、なるべく早く黒字化したい。チャレンジすることが好きなので、思い切ってやっていければ」と意気込む。

交邦磨棒鋼センター初の海外拠点設置の目的は、単なる新規市場の開拓だけではない。「今、日本は順調かもしれないけど、この先は不透明な部分がある。タイで試行錯誤する中で、ひょっとすると日本にはないやり方が、タイで見つけられるかもしれない。新しいアイデアか、違うものを売るのか、もしくは同じものを売るにしても、別の方法があるかもしれない。それを日本にフィードバックしていければと思います」(安井副社長)。単純な利益だけではなく、日本では得られない新たな思考や取組の還元。タイ法人は大きな期待とミッションを担っている。

会社情報

会社名 KOHO PRECISION BAR AND METALS CO.,LTD.
住所 112 / 55 Moo 6, T.Bangpriang, A.Bangboo, Samutprakan 10560
お問い合わせ先 Tel:02-103-6426 Fax:02-103-6427
担当者名 担当:安井 Mobile:065-513-4708 E-mail:yasui.yukio@koho-c.co.jp Choomsang Mobile:092-278-8446 E-mail:choomsang@koho-c.co.jp
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