絶えまぬ板金加工の技術開発 インダストリー4.0をサポート

板金加工機械世界大手の一つ、ドイツのTRUMPF(トルンプ)は1923年にクリスティアン・トルンプ氏がシュトゥットガルトの機械工場を買収したのが淵源。現在は世界約70カ所に現地法人を設け、従業員は約12,000人、売上は30億ユーロにおよぶ。機械向けハイテク技術を用いたソリューションを得意とし、板金加工、レーザ、エレクトロニクスに秀でている。デジタルネットワークを通じた通信技術による生産システムの開発を背景に、機械設備、ソフトウェア、システム関連のコンサルティングを続けている。今回、トルンプのタイ法人のタウィワット・ルアンパンヤーロート社長が、インダストリー4.0推進をサポートする同社のビジネスについて答えてくれた。

タイ市場のさらなる拡大に期待

トルンプのタイでの事業は主に2つある。まず工作機械。レーザ加工機、パンチングマシン、ベンディングマシン、レーザパイプ切断機など、特に板金加工工程における高度な技術を備えている。次にレーザ。産業界ではレーザの使用が進んでおり、熔接機、3次元レーザ加工機、マーキングレーザなどが主流。また3次元の部品加工が可能となる3Dプリンターの新型機も扱っている。

タウィワット社長は「当社はタイで20年間、機械などの販売ビジネスを行ってきました。代理店を通じてアフターサービスも充実しています。タイ市場の可能性は巨大なものがあると見ています。将来、産業発展がますます進むことでしょう。自動化、オートメーション、板金加工を含め、自動車産業をはじめ当社がターゲットとする各部門に浸透するものと思います。タイ市場でのライバルとの競争はこの3年間、激しさを増してきました。製品はハイテクを駆使した複雑なものになりますから、顧客に対する質の高いコンサルティング、アドバイスが重要です。将来を見据えた顧客の生産計画に沿った的確な技術コンサルティングを心がけています。製品の生産効率を最大限に生かし、事業の可能性を高めてもらいます」と話す。

世界各国に展開するトルンプグループの中でタイ法人の特徴は、中古機械修理センターを有していること。このセンターは、同社の中古機械を完全にオーバーホールして、中古市場に送り込む機能を持っている。メーカーならではの高いギャランティーを備えた中古機械を生み出している。

ニーズに応えて生産拠点を拡張

トルンプの製品の多くはヨーロッパの工場で製造されている。主にドイツ、スイス、オーストリアの3カ国で、今では顧客に適した小型モデルの製造工場を中国に設けている。

「この地域の顧客は高い技術とリーズナブルな価格を求めます。当社のターゲットの一角に位置しています。当社の板金加工機の流れが強まり、成功の重要なファクターとなりました。さらに将来の産業開発を支えることになるでしょう。タイの産業全体が成長を続けることで、多くの部門が発展してきます。まず自動車です。すでに大きく成長し、広大な市場ができています。電気自動車(EV)の製造にも板金の切断、組込、加工技術が必須です。効率的なレーザの使用というポイントに当社の存在理由があります。この点を有効に生かして生産力を上げなければなりません。将来のEVの製造には、新素材も増えてくるでしょう。また航空機産業も高度な精密レベルが要求されます。当社の高度なレーザ技術の出番がいよいよ多くなります」

現在、労賃および生産コストが上がる傾向が続いている。中小企業はコストを減らすために、差異化などの変化に迫られている。労働力頼みの生産現場にCNCの機械や産業ロボットなどの導入が進められている。トルンプでもタイ市場にリーズナブルな価格の機械をさらに供給し、産業集積のさらなる充実をサポートする立場にある。

METALEXで新たなソリューション披露

タウィワット社長は将来の製品について語る。「来年はインダストリー4.0に沿った新たな技術を提案します。24時間稼働するオートメーションシステムも発表します。管理する人員はほぼ不要になるでしょう。特にこの分野の工程を必要とする中小企業向けに、リーズナブルな価格で提供します。当社の機械の導入方法、使い方に慣れれば効率が一層上がることは間違いありません。新時代の機械の導入で事業の将来が開けてくるでしょう」。

また、トルンプはバンナーのバンコク国際貿易展示場(BITEC)で11月21日から24日まで開かれる東南アジア最大級の工作機械展示会「METALEX 2018」に出展する。約3,300ブランドの出展し、10万人近くの来場が見込まれているMETALEXにおいて、トルンプはホール100、ブースBB01にブースを構え、多彩な製品、ソリューションをアピールする予定だ。

タウィワット社長は「今後、タイ市場で販売される主力機械としては、3Dプリンターがまず挙げられます。現在、すでに輸入が始まっていますが、将来この種の機械は医療産業をメインに大いに発展するでしょう。タイではチタン製の人工骨などの市場が拡大しており、この地域の先頭に立っています。またモデルによっては日本市場に適した機械もあります。日本におけるトルンプは、1台でレーザ加工とパンチングを進めるコンビネーション機械を販売しています。日本ではこの種の機械が歓迎されています。タイはすでに日本企業が多く進出しており、当社はタイの日系企業にも提案していきます。機械間をまたがるワークの段取り替え時間が省略されますので、時間の短縮が進みます。METALEXにも、この機械を出展します」と語る。

会社情報

会社名 TRUMPF Ltd.
住所 19, 21 Motorway Road, Klongsongtonnoon, Lat Krabang, Bangkok 10520
お問い合わせ先 Tel:02-576-5995 E-mail:info@trumpf.com
担当者名 志村 Mobile:092-783-4674 E-mail:hideyuki.shimura@trumpf.com
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