タイ節税講座
Chapter 2 第12回 タイの投資信託
今回は、タイで税金控除としても使うことができる投資信託についてご紹介したいと思います。銀行の窓口でも販売していますから、皆様も一度は耳にされたことがあるかもしれませんね。特にLTFは保有期間が最低5年間と短いため、実際にご購入されているかたも少なくないと思います。
LTF(Long Term Fund)
タイ株式市場(SET)に投資する長期ファンドのことです。購入後、売却まで最低7年間は保有する必要があります。LTFは銀行や証券会社などで購入することができます。購入にはパスポートとワークパミットの提出が必要です。また、売却益は非課税となりますが、保有時に分配金がある場合は分配金には10%の源泉徴収がかかります。
LTFを購入した年は所得税控除が受けられます。控除額は所得に対して15%まで、最大で50万バーツまでの所得税控除が可能です。ちなみにLTFによる所得税控除は2019年を目途に終了となる予定という話もあります(実際の終了時期はまだ決定されていません)。節税対策としてお考えの方は早めにご検討されたほうがよいようです。
RMF (Retirement Mutual Fund)
年金型の積立ファンドです。タイでは日本のような公的年金制度は一応社会保険の中にありますが、まだ年数も浅く、金額も小さく、これだけで老後が過ごせるというものではありません。そのため国民自ら年金積立し、老後に備えることができるよう、タイでは保険会社による年金プランが充実しています。国としては、大きく(最大30万バーツまで)控除対象とすることで、年金というものをサポートしています。
また投資信託で年金を積み立てるということもできます。それがRMF(リタイアメントミューチュアルファンド 年金積立ファンド)です。こちらは所得税控除に使いたい場合には55歳まで毎年支払い・保有し続ける必要があります。R控除金額は所得に対し15%まで、最大で50万バーツまでとなります。売却益に対しては同じく非課税となります。
プロビデントファンド
プロビデントファンドは、退職金積立基金法に基づく退職金給付制度のことを言います。基本的には被雇用者の給与の約3~5%ほどを雇用者と被雇用者が毎月積み立て、ファンドマネージャーが運用し、被雇用者の退職時に元本と運用収益と合わせて支給する仕組みになっています。今年から100人以上従業員がいる会社ではプロビデントファンドに加入し、月給の3%で運用するよう義務づけられる方向であるようです。
控除に関して言えば、LTFは単独の控除枠がありますが、年金関連については、年金保険の積立金+RMF+プロビデントファンドの合計額で50万バーツの枠となっています。投資信託の商品は保険とは異なり、元本は保証されておりません。購入時に投資される商品について十分に理解されること、特にそのリスクについて十分に理解し、購入されることをおすすめいたします。プロビデントファンドは導入にはしっかり時間をかけ、従業員の皆さんに十分説明をしていくプロセスが欠かせません。導入をお考えの際は下記までご連絡くださいませ。
【著者】 佐々木 扶美 タイ資産運用アドバイザー
MDRT4年連続会員(世界中の生命保険・金融サービス専門職のトップクラスのメンバー。MDRTメンバーはビジネスと地域社会のリーダーとして、生命保険と金融サービスの専門家として世界中で認知されている)
在タイ12年。利回りの高い保険を活用した法人税、個人所得税の節税コンサルティング、および土地を使った資産運用のアドバイスを行う。配偶者はタイ人、タイ永住組。
メール:info@siamrcs.com
www.aseanlandbanking.com
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