タカハシ社長の南国奮闘録
第106話 新たな挑戦
テクニアのグループ会社であるテクニアジャパンが制作した商品が9月に発売された。ブランド名はMy room studio(通称マイスタ)で、商品名はオンラインマルチフレーム。テクニアグループとして初めてのBtoCであり、コンシューマー向けの自社商品だ。一般向けに商品を販売した経験がないため、ウェブ上でテストマーケティングを行えるクラウドファンディングを利用した。 初段階のターゲットは、テレワークの方やユーチューバー、オンラインセミナー講師だった。しかし改良を進めていくうちに、作業の手元を映すことも可能なデザインとなった。作業台の省スペースで手元を明るく照らし、カメラを下向きに固定できる優れものだ。料理動画や商品紹介、さらには離れたところに生産工場を持つ会社で作業や技能をオンラインで伝えるときに抜群の威力を発揮する。コロナで止まっていた海外への製品の営業や、社員への技能伝達も可能となる。 発売にあたり商品のコンセプトをわかりやすく伝える必要があるのだが、それは想像以上に困難だった。自社製品生み出すメーカーはこんなにも大変なことをしているのかと驚き、実務に追われた。説明のために何度も写真と動画を撮り直した。なかでも難しかったのは値段決めだ。卸売り単価と定価を決めた後に、最初の設定から品質向上のための単価が想定以上に高くなり、決めるのに時間がかかってしまった。また、今まで直接的な営業しかしてこなかった弊社が商品の魅力をサイト情報だけで伝え、必要とする人たちに正確に届けられるのか、とても不安だった。 そしてクラウドファンディング。投稿初日、社員と関係者とともに固唾をのんでサイトに表示される売れ行きを見つめた。目標金額10万円と低めにハードルを設定した。その目標値を超えられるかどうかが今後の信頼度に結び付くからだ。 目標金額は4時間で達成できた。開発メンバーと飛び跳ねて喜んだ。その後は飛ぶように売れているという訳ではないが、コンスタントに数字を重ねている。これを見て、今の世の中に必要とされている商品であることが感じ取れた。また女性より男性、年齢は40~50代の購入者が多いことが分かった。これによって今後の宣伝方法を絞っていくことができる。 このマーケティングで得た情報を生かし、コマーシャルを試していく。プレスリリースはじめSNSや新聞、雑誌、世代や性別によってソーシャルメディアを選んで効果を試していきたい。まだ手探り状態のなかで試行錯誤をしている最中だが、少しずつ結果が見え始め、楽しくなってきた。この後はクラウドファンディング終了後の作戦も立てないといけない。同時に更なる商品開発をしていかないといけない。やらなければいけないことはたくさんあり、目まぐるしい毎日を送っている。 このマイスタの商品がテクニアグループの主力製品となり、世界で活躍してくれることを想像するとワクワクが止まらない。
2020年11月1日掲載
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