タカハシ社長の南国奮闘録
第60話 親日
タイは親日といわれている。私も親日感情が根底にあると感じている。そもそもタイはなぜ親日になったのだろうか?
タイ人が日系企業に勤める感覚は、我々が日本で思う「外資系に勤める」という感覚とは違うように思う。どちらかというと、選んで頂いているように感じる。その謎はカンボジアを訪れたときに解けた。日本の国旗と政府開発援助(ODA)の旗が、支援の実績として道路や学校など至るところに掲げられていた。
日本のODAと国際協力機構(JICA)は長きに渡り、無償で莫大な資金をかけてアジアの発展に寄与してきた。こうした支援活動が、支援された国々を親日にしている事に気づいた。
ご存知だろうか。JICAによって設立された訓練センターを結ぶ道が42キロほどあったため、完成後にマラソン大会が行われた。その大会で上位2位までは日本の広島で行われるマラソン大会に参加できるという事で、選手たちは必死に頑張った。そのうちの一人はアトランタオリンピックに出場して見事に完走したという。インフラ整備から和平、衣食住、そして教育、運動などあらゆる分野に日本の支援が及んでいることが伺える。
現地で支援に携わった日本人にも注目したい。青年海外協力隊は近年、お金の支援だけではなく技術ノウハウの支援も行っている。グルーバル人材育成のために作られた民間ボランティアと連携し、その活動で派遣された若者が様々な分野で活躍している。
教育現場の改善に携わった女性隊員は、データ分析を活用して問題を解決し、子どもたちを学校に通いやすくした。また効果的なベンチマーキングで水準の平準化を進め、援助機関との連携促進により学校を夜間でも学ぶ場に変身させた。その女性隊員の成長が輝いて感じられた。
このような功績は日本がアジアのリーダーと称される理由ともいえるだろう。最近でこそ順位を落としたが、日本はODAとJICAの活動を通じて世界ナンバー1の無償援助と技術供与、インフラ整備、教育システムなどを諸外国に提供してきた。私は1人の日本国民として、先人たちの功績に誉れを覚えた。そのおかげで、日本の企業が進出するときに必要なベースが出来ているのだと思う。
先人たちの功績に感謝をして、恥ずべき事の無いように言動を慎み、これからもタイの人々と国の発展を願いながら共に歩んでいきたい。