タカハシ社長の南国奮闘録
第64話 挑戦
会社は常に新しい挑戦をしなければ陳腐化していく。それが大きな傷口となり、傾いていくことも覚悟して行わなければならない。特に後継者の場合、創業時に覚悟した経験がないため、第二次創業できるかどうかが重要となる。先代の七光りも10年持てば良いほうだ。事業内容やお客様の好調に支えられて継続するケースもあるが、それはそれで守ることに挑戦することとなり、継続させる難しさもある。
ここタイの工場も同じだ。テクニアも挑戦し続けて10年になる。物価が上がり、周りの環境が変わり、人の採用も容易ではない。今までのやり方だけでは利益率は確実に減少していく。
そこで今月より、新たな取り組みを行うことにした。R&D開発の試作に欠かせない、モデリング材質をアルミニウムに限定した試作品の3D加工だ。日本のテクニアと連携し、特殊車両パーツのモデリングや航空機部品で活用している技術を生かして、タイの同時加工可能な機械で製造する。
日本ではデザイン難易度の高いCAD/CAMを駆使した加工を通常行っており、これまでは日本で開発して、タイでは生産委託という形でプロダクションだけを任されてきた。しかし最近では、試作開発をタイで行う機会が増えつつあり、調達も現地調達になりつつある。高価な部品だが、輸送コスト、関税、打ち合わせ、リードタイムを考慮すると絶対的な利便性があるからだ。
ただし挑戦の一番のポイントは お客様の役に立てるかどうかだ。それは我々が決めるのではなく、お客様が評価するもので、こればかりは試していただかないと判断がつかない。我々にできることは、製品に真面目に向き合い、究極の加工に挑戦できる状態を作ることだけだ。
必要な機械マシーンを配置して、様々な仕事に対応し、技術を磨き、職員たちの資質(技能)を高めること。10年前、タイに資本投下を行い、単独で機械加工を始めた時から変わらぬテクニアの伝統なのかもしれない。
どちらかと言うと待ちの営業となるが、すべての挑戦は、お客様から話をいただく事から始まるのだ。おかげさまで高硬度材や難易度の高い機械加工品を提供できるようになった。今のテクニアがあるのも、お客様に拾っていただき、試していただき、ご愛顧いただいたからこそであり、感謝の気持ちでいっぱいだ。
テクニア10周年の感謝に応えるということは、よりレベルの高い単品3D加工をタイで実現して、お客様に提供することである。
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