泰日工業大学 ものづくりの教育現場から
ものづくりの教育現場から第49回 『デジタル時代のICTの役割』
タイでものづくり教育を進める泰日工業大学(TNI)の例をもとに、中核産業人材の採用・育成について検討します。今回は、本年6月22日の日系企業勉強会で紹介された6つの項目の中から、まず2つを紹介します。講師はラッティコン・ワラクンシリパン(Ruttikorn Varakulsiripunth)TNI情報技術学部長で、日系企業・機関の皆さんのために自ら作った64頁のスライドを流暢な日本語で紹介してもらいました。本誌では、誌面の関係上、特に日系企業の皆さんを意識して、抜粋編集しました。
タイにおけるインターネット使用とソーシャルネットワーク
- 人間の生活に必要な基本要因は、日本では食料、衣料、住居が3要因であるが、タイではさらに薬が加わる。さらに、便利で必要なものを現代人に問うと「情報通信をいつでも、どこでもできることが必要」という答えで、Internet(インターネット)ということになる。
人間の生活に必要な基本要因=食料 衣料 住居 + 薬 +インターネット
- 以下は、ETDA(タイ情報技術省電子取引開発庁)が2015年に10,434人のタイ人に聞いたオンライン調査結果で、バンコク・周辺都市3%:地方43.7%、男42.4%:女55.8%:男女両性1.8%、15-34歳64.4%:35-50歳26.2%:他9.4%の結果。
- コンピュータ関連機器のうち、第1の利用はスマートフォンで1%が1日平均6.6時間利用、2位は54.7%がデスクトップ・コンピュータを1日平均6.2時間利用、3位ラップトップ、4位タブレット、5位スマートTVの順。
- スマートフォンの1日の使用状況では、①午後16:01~00の時間帯に26.89%が利用、②午後20:01~24:00の時間帯24.88%、③午後12:01~16:00の時間帯21.6%、④午前8:01~12:00の時間帯20.27%、⑤午前0:01~8:00の時間帯6.36%の順。
- 次にタイ・デジタル広告協会の2015年データでは、タイ人口約6,800人に対し、モーバイル使用は9,190万人(人口の135%)になり、そのうち50%以上はスマートフォンで、通信会社利用順位はAIS46%、DTAC31%、Truemove23%である。
- スマートフォン使用者は、①写真、②音楽、③ゲーム、④インターネット、⑤ソーシャルネットワーク(SNS)利用が多い一方、一般の携帯電話使用者では、①音楽、②写真、③ゲームの順。
- ソーシャルネットワークでは、①フェースブック、②ライン、③グーグル、④インスタグラム。⑤ツイッターの順。いずれも最初は一般個人の無料利用から始め、いまはビジネスになる段階。
- ライン以外は、いずれもタイは世界の上位利用になる一方、日本はまだ低い(図を参照)。
- 世界のソーシャルネットワークユーザーは2016年2億人で、2019年には27億人になる見込み。また現在のソーシャルネットワーク・ウエブサイトは200以上ある。
デジタル・マーケティング(Digital Marketing)
デジタル・マーケティングとは電子メディアを通じて製品やブランドのプロモーションを行うこと。
- 最も一般的なチャンネルはインターネットだが、その他として携帯電話メールやインスタント・メッセージ、スマートフォンやタブレットのモーバイルアプリ、ポッドキャスト、電子看板、デジタルテレビ、デジタルラジオなど多種多様。
- 従来のマーケティングと異なる点は、様々なチャンネルや手法を用いてマーケティング・キャンペーンを分析し、リアルタイムでその有効性を把握できること。
- また制作管理者はコンテンツの閲覧の有無や、閲覧頻度、閲覧時間、コンバージョン率、コンテンツごとの反応を常に確認できる。
- 特徴:数分以内で売りたいものを宣伝できる。つまり自分のアカウントを開いて、ページを作成する。そしてビジネス種類を設定し、品物のカテゴリを選択、ブランド名を記入、スタートを押す。あとは画面の指示通りに進めば、広告ページの設定ができる。なお、ここまでは無料だが、例えばグーグルサービスを利用して会社の宣伝・広告を有料でする、またユーチューブを通して、ビデオで会社の宣伝をし、客がビデオを最後まで見るたびに、手数料を払うやり方がある。(ビデオが終わる30秒前までに切る場合は無料)
- ウィキペディアによると数え切れないオンラインショッピングウエブサイトがあり、タイ国内の衣類関係のオンライン・ショッピングは2013年1830万人から2015年2460万人になり(図を参照)、自分の住居からインターネットで購入し、デパート購入は減る。また世界のEコマースも2015年17,000億ドルから2018年23560億ドルになる見込み。
編者:吉原秀男(Yoshihara Hideo)泰日工業大学(TNI)学長顧問