タカハシ社長の南国奮闘録

第84話 大切なもの

大切なものを大切にする。

先輩が教えてくれた、ありふれた言葉だ。

大切なものとはなんだろう。

大切なものは、いつもあたり前のように身近なところにあり、無くなってみないとわからない空気のような存在だ。

私は以前、自暴自棄になっていたことがあった。大切なものが見えなくなって、危うく失いかけた。

当時の私は、大切なものが自分自身になっていたのだろう。会社運営がうまくいかず、そのことで頭がいっぱいになり、相手を思いやる余裕を無くしていた。そんな私をみかねた先輩が、大切なものを大切にするという言葉を教えてくれた。

あたり前のことなのに、当時の私に一番欠けているものだった。その欠けているものを探すために、他人の幸せの手伝いを始めることにした。

タイ進出を目指す友人たちの手伝いをしていく中で、少しの成功でも心の底から幸せを共有し合うことができた。そして、人に頼られることは素晴らしいことだと気付いた。

同時に、自分も頼ることが必要だと感じた。人に頼ることは、生きていく上でとても大切だ。苦しい時に苦しいと言えることは、人を信じる強さでもある。

大切なものを大切にしなければ、自分は絶対幸せにはならない。先輩はそれを教えてくれたのだ。

人は皆、幸せになるために生まれて、一生懸命生きている。単純なことだが、日頃どれだけ大切なものを大切にできているか、いまいちど自分に問い直している。

その先輩から百年カレンダーをもらった。ここに君の命日が存在するねと言われた。もし仮に設定するとしたなら、健康のまま寿命を全うしたい。

寿命は決められているが、生あるうちに悔いなく、大切なものを大切にして生きる人生を歩んでいきたい。人の幸せを願う先輩のように。

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