タカハシ社長の南国奮闘録
第98話 トライし続けること
今年、日本は子年に入る。 十二支と十干の組み合わせで年を表現する干支は全部で60通りあり、今年は庚子の年だ。 庚子年はねずみの繁殖力にちなんで、増える、増殖するという特徴があると言われている。この増えるというのは、運が増えることだと私は思う。運というのは良運だけでなく、不運、悪運もあり、この運の生かし方によって昇る人と落ちる人の格差も広がるのではないだろうか。 今年に入り、中国発の新型コロナウイルスが日本、タイを含め世界的に大問題になっている。2020年が始まってまだ数か月にして、早速、庚子年の特徴を実感している。 この増えるというのは悪いことばかりではなく、いい運やチャンスも増えるということである。ここで大事なのは、良運か、悪運かを見極めることだが、それは容易ではない。なので一度トライしてみて、アクションを起こして厳しいと感じたら、早めに判断して切り替える。一番の不運は、失敗を恐れ何もしないこと。近年は環境が目まぐるしく変化し、何もトライしないと現状維持が難しく、衰退していってしまう。 だから失敗を失敗と思わず、その原因を分析してデータとして蓄積し、成功するために必要な糧としていく。失敗を引きずり、ネガティブになっている間にどんどんチャンスは去っていく。チャンスを逃さないようにしっかり準備や対策を行って、トライし続けることが今年は特に必要だ。 私は今年、2つのことにトライしようと考えている。一つ目は技能伝承を目的としたアドバイザリー事業だ。現在、後継者問題などで技能伝承が進まない中小零細企業を救うべく対策を練っている。職人や技術者がいなくなってしまっては、モノづくり事業はできない。以前から遂行している技能伝承のテクニアカレッジを軸に、中小零細企業の技能伝承をサポート、アドバイスしていくことを目的とした事業だ。 今までは自分の会社を盛り上げることを中心に考えていたが、50代に入り、これからは世のため人のために尽力していかなければならない。周りの企業と一緒に日本のモノづくりを盛り上げていきたい。 二つ目は各工場の意識改革だ。今年から日本テクニアの社内では、旧体制から脱却して新体制の運営を始める。その内容は、各工場の統括を本社で行い、全体最適を目指すというもの。 今までのテクニアは各工場の運営を工場単位の責任で行っていた。これによるメリットは、自立した運営で工場内の結束が固まること。しかし、部分的にしか連携が取れず、全体の連携がとれないというデメリットがあった。自分の工場以外のことを把握できておらず、支援要請に対応できる社員が少なかった。 同じ会社として自分の工場以外に無関心にならないように意識改革を行って、今までの町工場のあり方から一企業としてあるべき姿に変革していくことが目的だ。まだ今は日本国内の統括だが、いずれタイ工場からの支援要請にも迅速に対応できるように、しっかり根本から体制を変えていきたいと考えている。 まだ2020年は始まったばかりだが、時代の流れをしっかり察知し、失敗を恐れずチャレンジし続けることをここに宣言したい。
2020年3月1日掲載