泰日工業大学 ものづくりの教育現場から
第105回 『TNI経営学部で何を学ぶか』
タイでのものづくり教育を進める泰日工業大学(TNI)の例をもとに、中核産業人材の採用・育成について検討します。今回は現在9学科課程を学べる経営学部を紹介します。2007年の開学当初は、工業経営学(MI→のち現在の技術・イノベーション管理学MIに変更)と社会人対象のビジネス・工業経営学(BM)だけでしたが、翌年学生に人気のある日本語・経営学(BJ)が加わり、さらに会計学(AC)や日本的人事管理学(HR)、そして英語を重んじた国際経営学(IB)や、日本人や各国の学生を含めて英語で学ぶ国際ビジネス経営学など、テーマ・内容ともTNI3学部の中で一番バラエティがあります。また、ものづくり研究センターでは社会人対象に短期のTPS訓練やロジスティクス・サプライチェーン管理も教えています。なお今年度から、学士資格を短期間で得られる社会人教育課程4コースを始めました。詳細はお問い合わせください。
筆者:吉原秀男(Yoshihara Hideo)泰日工業大学(TNI)学長顧問
こんにちの企業はグローバル競争に直面し、特に価格(C)、品質(Q)、納期(D)の全ての面で、厳しい要求に対応しなければなりません。企業幹部は、各種システムを効果的・効率的に管理する、自己変革とカイゼン能力を内的に持つ組織をつくり環境を整備する、不断に商品・サービス価値を向上する、さらには社員能力の向上に努める必要があります。なおIBMは国際プログラムで、英語で実施しています。 技術・イノベーション管理学(M I)
Management of Technology and Innovation (127単位):経営学と技術管理学をあわせて学習し、国家目標のタイランド4.0に沿った生産革新能力を付与する目的です。またビジネス開発で日本の「ものづくりの考え方」を現場に適用できる能力を学びます。 日本語・経営学(BJ)
Japanese Business Administration (136単位):BJ課程は、様々な業種の日本企業やタイ-日合弁企業を対象に会計、財務、人事、マーケティング、物流、国際ビジネス管理など、経営管理の最も共通した側面に焦点を当て、実践的能力を付与します。また履修者が日本のビジネス環境に容易に入れるように十分な知識と技能を習得できる課程になっており、日本人教員や専門家による日本語指導が特徴です。 国際経営学(IB)
International Business Management (133単位):世界の先進・新興経済圏を視野に入れた内容で、さらに、国際ビジネスのキャリアを追求するすべての学生に不可欠な履修内容です。また組織・職業訓練的な内容もあり、学生の就職先を、自動車、電機、繊維産業などの国際ビジネス環境の職場、また商業関連分野を視野に入れています。 会計学Accounting(AC)(139単位):AC課程では管理会計、財務会計、会計情報と技術の3つの柱を提供します。またBOI、日本の会計、所得税、金融、国際会計慣行などの個別分野でタイ語、英語、日本語を駆使できる会計専門家のニーズに応えます。また、ものづくりの考えに基づき、理論と実践を重視し、TNIの広範なネットワークから会計事務所などの産学連携インターンシップ研修を実施します。 日本的人事管理学(HR)
Japanese Human Resources Management (133単位):HR課程は、企業の要望をもとに以下の分野に明るい人材を養成します。特に経営知識と、人事管理と開発に関し、労働倫理や道徳などの課題に理論面と実践能力、さらにこれらの知識を活用して工業製品を効率的生産する能力、英語と日本語のコミュニケーション力を付与します。 ロジスティクス・サプライチェーン管理学(LM)
Logistics and Supply Chain Management (136単位):LM課程は、物流サービスを開発する総合過程や、システムやプロセス、リソース配分を効果的に分析する能力を含む、生産をサポートする最適化された支援操作に焦点を当て、物流とサプライチェーンの包括的サービスにおけるプロジェクト管理の理論と実践の両方を可能にする人材を育成します。 創造的・デジタルマーケティング学(CM)Creative & Digital Marketing (136単位):CM課程は、マーケティング、技術、技術革新と経営という4P〔Product(製品). Price(価格), Place(流通), Promotion(コミュニケーション)〕をカバーします。特に 製品とサービスの開発、価格戦略、マーケティングにおける流通管理、コミュニケーションとプロモーションなどについて創造力が身に着けられる包括的なプログラムです。また組織経営の理解にも焦点を当て、実際に組織に活用できる内容を学習します。 革新的観光・接遇管理学(TH)
Innovative Tourism and Hospitality Management (133単位):成長する観光産業とサービスのニーズに応えるコースで、質の高い知識と言語スキル、ITスキルを備えた人材を育成します。観光およびホスピタリティ業界の様々なポジションで創造的に働くことが可能になります。 国際ビジネス経営学(IBM)
International Business Management (136単位):IBM課程は、世界の先進・新興経済圏を視野に入れた国際プログラムで、インターンシップなどの実践的な組織・職業訓練も含んでおり、アジア太平洋、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカの地域経済共同体の課題に対応できる、革新的な内容です。
2021年7月1日掲載