タイ版 会計・税務・法務
【第62回】 事業を拡張するときの考え方について
Q:弊社は日本の親会社とその役員が株式の100%を保有する在タイの非公開会社です。現在はBOI投資奨励を受けて製造業を営んでおり、これまではタイ国内市場にしか製品の供給をしていませんでしたが、このたび海外顧客にも輸出販売することを検討しています。この点、輸出業を行っても問題ないでしょうか?
A:『外国人』企業である御社は、まず当該事業が外国人事業法上、事業の実施に当たり内閣による許可又は商業登記局局長からの許可を得る必要があるとされている同事業法上の規制事業(リスト2、リスト3記載のもの)(※1)に該当するか否かを勘案する必要があります。この点、輸出業は外国人事業法上の規制事業には該当しないと解されているため、事業の実施は可能であるものと思われます。
Q:事業の実施が可能だとすると、早速実施準備に係りたいと思うのですが、資金面で言うと現在実施しているBOI投資奨励事業の最低資本金額は500万バーツとされており、全てこれについては充当済みです。内部留保額もありますので、正直追加で資本充当しなくても事業が実施できるのですが、問題ないでしょうか?
A:外国人事業法は、事業の開始に際して外国人は最低200万バーツの資本金を有する必要があると定めています(※2)。この点、御社の輸出事業は、BOIにて投資奨励を受けている事業には該当せず、『新規の事業開始』と解されるため、登録資本金についても、同法に則りBOI投資事業に必要な資本金に追加して、別途で当該事業のための資本金を有する必要があります。
結果として、御社が製造業と輸出業をともに営む場合は、700万バーツ(=500万バーツ(製造業)+200万バーツ(輸出業))の登録資本金を有する必要が生じます。
(※1)外国人事業法第17条
(※2)外国人事業法第14条
なお、本文書は一般的な検討を行ったものであり、個別のケースで問題が発生した場合には、多くの場合関連法規の検討や専門家のアドバイスが必要となります。そのため、本文書の著者及び所属先は、本文書の掲載内容に基づいて実施された行為の結果、並びに誤情報及び不備については責任を負いかねますのでご了承ください。
2014年7月 |