下請け企業の成長がタイ経済を支える

部品メーカーの発展を支えるタイサブコン(タイ下請け振興協会)は、会員企業が国内外の様々な機関から認められるよう技術力の強化を図るとともに、新たな産業市場を開拓し、会員企業が最新技術を備えたメーカーになるための基準作りを行っている。また、タイ国内で強固なサプライチェーンを構築し、S字カーブ産業(タイの経済成長を牽引する重点産業)における貿易機会を増やすことで外国からの輸入を減らし、国内のキャッシュフロー創出にも貢献している。今後、タイの下請け企業はどう変わり、どう生き残っていくのか。タイサブコンのキアティサック会長に話を伺った。

支援産業としての地位を確立

タイの部品メーカーが集結して2003年に発足したタイサブコン協会は、主に日系自動車メーカーの部品サプライヤーの育成において成果を出してきました。タイのロ―カルコンテンツを上昇させ、下請け企業の技術水準を日系メーカーに認証されるレベルまで引き上げることに努めています。現在は支援産業としての地位を確立し、製品・サービスともに高い水準に到達しています。会員企業が増え、パートナーとの協力関係も広がり、工業セクターに占める位置は年々重要になってきています。会員企業の多様化も進み、世界的企業の重要なサプライヤーとして活躍する企業も多数あります。  当協会は現在、産業部門ごとに16のグループを擁しています。政府が重点投資誘致分野と位置付ける「新Sカーブ産業」、すなわち医療、バイオテクノロジー、デジタル、航空、自動システム・ロボットの5分野のほか、機械、エンジニアリング、金型・成型、パッケージング等のグループもあります。  現在、会員数は400社を超えています。その多くは各分野の部品・部材メーカーで、国際標準の工場で高品質の製品を生産し、日本、ドイツ、スウェーデン、フランスなど技術先進国の顧客からも高評価を得ています。当協会の会員企業は今や世界に向けて存在を主張する立場にあります。

新技術導入による生産性の向上

新たに生まれる技術は、新たな市場を探して広がります。タイの新たなフィールドであるSカーブ産業は、まさに新技術が広がる格好の土壌です。当協会では、自動車業界の製造業の会員をSカーブ産業に誘導する方針を掲げています。市場機会の拡大、顧客リスクの分散、生産技術の拡大を図るために、会員の業界へのアクセスを促進する必要があり、鉄道、航空・物流、医療機器、防衛、産業オートメーションの5つの分野に会員を誘導することに重点を置いています。外国からの輸入を減らし、タイ経済にお金を循環させるために、真に新しい産業に注力し、国内に強力なサプライチェーンを構築することを目指しています。  会員企業は長年OEM(相手先ブランドによる生産)事業を手掛けており、製造技術は最先端レベルにあります。しかし、それだけでは新たに産業を興すことはできません。事業は部品の研究開発から始まるものではないからです。重要なのは、独自の技術開発力です。それを得るためには、新素材、新技術を長年開発してきた日本企業から学ぶ必要があります。タイに日本企業を誘致することは、多方面にわたり重要な意味があるのです。  先に挙げた5分野(鉄道、航空・物流、医療機器、防衛、産業オートメーション)への日本からの投資に大きく期待しています。タイ企業が新産業のメーカーとなりシェアを大きく伸ばすためには、日本企業と手を組むことが一番の近道です。タイ人は長年、日本ブランドの品質の良さを経験し、信頼を置いてきましたから。

サブコン・タイランド2021に期待

サブコン・タイランドはアセアン最大の工業用部品メーカーの展示会に成長し、世界中からバイヤーが訪れるようになりました。すでに20年余りタイ投資委員会(BOI)が力を入れており、タイサブコン協会もインフォマーケッツ社と共に参画して展示会を盛り上げてきました。メインテーマであるタイの下請け企業と世界中のバイヤーとのマッチングは毎年大きな成功を収めています。  BOIは海外オフィスを総動員して動いてくれるため、今ではサブコン・タイランドは世界中に知れ渡り、タイの部品メーカーは世界の製造業にとって不可欠なサプライチェーンの一環としての地位を確立しています。  昨年のコロナ禍では、世界中の航空便がほとんど停止した中でも、ニューノーマルの方針に従い商談会をオンラインで開催しました。バイヤーとサプライヤーとの出会いはスムーズに進行し、結果として1278組のマッチングが成立しました。成約高は46億4900万バーツにのぼり、内訳は展示会場にて38億8900万バーツ、オンラインで7億6000万バーツでした。オンライン商談会は十分な成功を収め、展示会場での防疫・衛生など安全性の確保も万全でした。  今年は新型コロナウイルスのワクチンも普及し、サブコン・タイランド2021は昨年を上回る成功を収めることでしょう。とりわけ新たな分野におけるマッチングの増大が期待されます。サブコン・タイランド2021は、会員や下請け業界の起業家にとって、ビジネスを成功させるための技術やイノベーションと出会える絶好の機会です。今年も従来のブース出展型とオンラインが併行するハイブリッド展示会となります。事前のインフォメ-ションも万全で、来タイするバイヤーは十分な事前調査ができます。  サブコン・タイランド2021にはぜひ、日本企業の方々にも足をお運びいただけますようお願い申し上げます。
SUBCON THAILAND 2021(サブコン・タイランド2021)

日時:2021年5月12日(水)~5月15日(土)
タイ時間 10:00~18:00/日本時間 12:00~20:00
会場:BITEC(バンコク国際展示場)
※詳しくは www.subconthailand.com をご覧ください。

21年04月01日掲載

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