産業ロボットのラインナップを強化 創業30周年迎え一層の発展目指す

タイハイベックスは1992年に設立された電機・電子産業関連の装置、ツール類を取り扱う商社。日本人の射場博二氏(現会長)が1988年にシンガポールで設立したハイベックスシンガポールが親会社にあたる。現在、グループは東南アジアの各国およびインドを舞台に7カ国14都市に展開。創業30周年を迎えて今年は、新たな取り組みもスタートさせ、さらなる成長を見据えている。

NACHIの多関節ロボット「MZシリーズ」を新たに展開

タイハイベックスでは4つの事業を中心に展開している。正規代理店として創業当時から手掛けているのが、日本の電動工具メーカー、ハイオスの電動ドライバー等の販売。組立工程に欠かせないネジ絞めを適切かつ確実に行え、産業用電動ドライバーでは高いシェアを誇っている。最新モデルの「BLG-ZERO1シリーズ」は、設定の時間や手間を大幅に短縮。モーターの回転パルス数をカウントして異種ネジの混入やネジ浮きなどのネジ締め不良を高精度に判定。ネジの締め付けごとに残りの本数をカウントダウンで表示する。熟練工の経験や勘に頼らないネジ締めを可能にした。

また、PCB事業では、ソフミックスの実装前基板を加工する装置、オーディオテクニカのクリーナー、XIATECの加工用ドリルなど消耗品類を扱っている。半導体事業では、古河電気工業の半導体用テープを販売。ウエハーの加工に使用されるバックグラインディングテープ、ダイシングテープ、ダイシングダイアタッチフィルムを取り扱っている。また近年では半導体製造プロセスの後工程を担うテクノビジョンの半導体装置の販売も推進している。

基板や製品の組立にまつわる装置・ツール類を展開するPCBA事業では、蛇の目ミシン工業の正規代理店として、ネジ締めや塗布、基板分割など様々なアプリケーションを行う卓上ロボットや直交ロボット、スカラロボット、ジャパンユニックスの自動はんだ付けロボットなどを販売している。さらに、不二越(NACHI)の高速・軽量コンパクトボディが特長の多関節ロボット「MZシリーズ」の取り扱いを開始した。同シリーズは中空構造の手首を通してハンドケーブルを配線。周辺装置との干渉を防ぎ、設備の信頼性が飛躍的に向上した。アシスタントゼネラルマネージャーの射場周作氏は「今後、FA(ファクトリーオートメーション)はタイの製造業で間違いなく必要になります。多関節ロボットは、搬送やピッキングを得意とします。様々なタイプのロボットを持つ蛇の目ミシン工業様と不二越様の多関節ロボットの相乗効果で自動化ラインを構築したい」と狙いを話す。

マニュファクチャリングエキスポに出展

タイに集積する自動車部品、電機・電子、半導体メーカーらを主要な顧客に、タイハイベックスではこれら4つの事業をバランス良く展開し、経営を安定させている。近年も業績は順調に推移。昨年は携帯電話の新モデル発表に伴って、関連企業が設備投資に動き、半導体に使われるテープ類が伸びた。また、産業ロボットの需要も大きいという。「ロボットを導入してみよう、というお客様が年々増えている印象です。セル生産を得意とする卓上ロボットを少しずつ導入するお客様や大量に直交ロボットを導入いただき、自動化に舵を切ったお客様も。熟練した工員は作業も速いですが、品質の安定や更なる高品質化にロボットは優れています。また時間の制限もありません。トータルで見ると、ロボットを導入した方が生産性も向上します」(射場氏)。タイ政府が進めるチョンブリ、ラヨン、チャチュンサオの3県からなる東部経済回廊(EEC)の開発プロジェクトは注意深く様子を見つつ、期待も寄せる。「タイへの企業誘致が進めば装置、ツール類が必要になります。市場全体が盛り上がるのでは」。

6月20日から23日までバンコク国際貿易展示場(BITEC)で開催される「マニュファクチャリングエキスポ 2018」に2年ぶりに出展し、ホール98(ブースBC01)にブースを構える。蛇の目ミシン工業や新しく取り扱いを開始したNACHIの産業ロボット、電動ドライバーなど主要事業より各種商品を展示。メインは、複数ロボットによる自動化の提案になる見込みだ。これまでは連続性のないロボット単体の展示が主だったが、今回は多関節ロボットによる搬送から卓上・直交ロボットによるはんだ、塗布、ネジ締めまで、一連の製造工程を模した見せ方を構想している。さらに、シンガポールパビリオンの一角ながら、独自色を持ったブースに仕上げる。昨年はメタレックスに出展したが、「来場者のニーズと弊社が提供する商品が近い」と、今年はマニュファクチャリングエキスポへ出展を決めた。期間中は射場氏のほか、日本人の大野美穂さんがブースで対応する予定。ダニエルGMも日本語が堪能だ。

 

創業30周年の今年は、企業の顔とも言えるコーポレートロゴを変更。従来デザインのエッセンスは変えず、よりシンプルに分かりやすくリファインした。合わせて、各拠点で微妙に異なっていたロゴを扱うルールも定め、名刺も各拠点で統一のフォーマットにした。「従来のロゴは30年使っており、お客様にも馴染みがあり、当初変更に懐疑的な社員もいました」と射場氏は振り返る。それでも、今後の成長を見据えた時、サプライヤーや顧客への認知の向上、またよりグループの一体感を醸成し、ハイベックスの一員という意識付けを強めるため、自社ブランド強化を推進した。射場氏はシンガポールで2歳から高校まで過ごし、日本の大学を卒業後、大手玩具メーカーで約15年勤務。昨年1月にタイハイベックスに入社した。だからこそ、これまでの慣習などにとらわれない発想が可能だった。

「次は自動化のインテグレーションが鍵になる」と、ロボット単体の販売だけでなく、自動化ラインの設計、施工まで含めたシステムインテグレーションも社外のパートナー企業と共に強化。成長分野で他社との差別化を図っていく。また最近では、ドイツのPlasmatreatのプラズマ表面処理装置の扱いも開始した。ワークにプラズマを照射することで表面をクリーニングするプラズマ洗浄や、表面活性化による濡れ性の向上などを実現。プラスチックの他、金属、ガラス、紙、布地などにも対応する。真空チャンバーが要らず、大気圧下で使用できるのが大きな特長だ。「これからもお客様の痒い所に手が届く装置・ツール類を増やしていきたい」と、既存のビジネス領域にとらわれず取扱商品を増やしていく。AI(人工知能)など先端技術の活用に関しても、展示会を視察するなど、今の事業に生かせないかを研究中。「テクノロジーの進歩に付いていかないと、取り残されてしまう」。

日進月歩の技術革新を追いかけながら、サプライヤーと顧客を繋ぐ架け橋となって、同社は今後も最良の商品の提供することで産業全体の発展に寄与することを目指す。

会社情報

会社名 THAI HIBEX CO., LTD.
住所 117 / 2, 213 moo 18, Tambol Khlong Nueng, Amphur Khlong Luang, Pathum Thani 12120
お問い合わせ先 Tel:02-529-1516 Fax:02-529-2700
担当者名
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