「快適以上」を造る環境創造企業 配水管清掃、ビルメンテのスペシャリスト
愛知県豊田市でのゴミ処理請負業から興り、現在は愛知県一円と東京などで産業廃棄物処理事業や総合ビルメンテナンス事業、上下水道維持管理事業など環境に関わる幅広い事業を展開するのが、「快適以上をつくれ。」をコーポレートスローガンとする「ホーメック株式会社」(本社・豊田市)。1970年の設立は、今年でちょうど半世紀を迎えた。海外初となったタイに進出したのは2012年。現地では未曽有の大洪水からの復興需要に沸いた時期だった。翌年にはタイ法人を設立。高まる環境需要にも貢献してきた。清掃要員や庭師の人材派遣に鳥害駆除等。新たな事業展開を視野に常に「快適以上」を目指す環境創造企業だ。
高い技術力で業務を拡大
「ノーとは言わない精神。『それできません』と言わないのが当社の社風」と話すのは、タイ法人のManaging Director橋口 耕平氏。現法設置から7年。そのDNAはタイの市場にすっかり浸透・定着した。製造業にあって、非製造部門を支えるモノづくりの駆け込み寺。「街の何でも屋さん」と頼られることがスタッフの何よりの誇りだ。 官公庁などから請け負った廃棄物処理事業や下水処理事業、清掃事業などが同社の礎を築いた基幹事業だった。やがて信用が蓄積されていくと、1棟丸ごとといったビルメンテナンス管理や美術館管理、図書館管理など受託範囲も一気に拡大。さらには上下水道施設の一括受注、リサイクルセンターの開設と業務も拡張していった。今では環境にかかる総合コンサルタント企業としての側面も兼ね備えている。 製造業立国愛知県にあって、海外市場での経験はさらなる成長のきっかけになると考えた。多くの自動車関連企業等が海を渡った20世紀末から21世紀初め。これだけの高い技術を持ち、製造業を支えてきたきた同社が進出しない理由もなかった。取引先からの強い要請も重要な考慮となった。こうして選ばれたのが、6,000社に上る日系企業が現地法人を構えるタイの市場だった。
清掃や鳥害に対応
まず手始めに取り組んだのが、特にニーズの高かった工場や事業所向け清掃要員の派遣事業だった。「どこに頼めばよいのか分からない」「自社で募集し育てる余裕がない」。海外進出を始めたばかりの中小企業にとって、生産に直接関わりのない分野にまで労力を割く余力はとてもなかった。製造業が集積する東部チョンブリー県やラヨーン県。こうしたエリアの日系企業の事実上の相談窓口となっている。 派遣事業といっても、単なる人を送り出すだけの仲介業に止まらない。派遣要員となる全員については、いったん社員として採用。社内で入念なトレーニングを重ねた後に実施をしている。このため離職率は低く、良質なサービスとの評価も高い。「手はかかるが、これだけは手を抜くわけにはいかない」と橋口MD。信頼の証がこうしたところにある。工場や事業所など屋内向けにはメイドを、屋外向けには庭師を清掃要員として送り出している。 次にニーズの高かったのが、鳩やカラスなどの糞による鳥害対策だった。狭いところや庇の下などを好む鳥は、いったん巣を作るとそこに棲みつく習性を持っている。追い払っても舞い戻り、至るところに糞をまき散らすことから、工場や倉庫経営における悩みの種となっていた。野鳥の糞には多様な病原菌が含まれており、ひとたび人間の体内に入り込むと呼吸器系を中心に甚大な被害をもたらすことも少なくない。何よりも、出荷を待つ製品が糞で汚れてしまっては身も蓋もなかった。 同社が勧める鳥害対策のイチオシは、バードストップ(B-ST)と呼ばれるジェル状の薬剤を工場や倉庫の屋根や天井柱に設置することによって行う駆除方法だ。人間にも鳥にも無害な植物性ハーブから成る成分でできており危険性は皆無。加えて保湿剤を混合していることから物持ちもよく、建屋の外部でも施工可能だ。ジェルは設置後、早ければ1~2日で効果が出始め、その後の効力も最低3年間は継続する。目立たないことから景観も保たれ、すでに多くの工場や倉庫で実証済だ。
新たな事業にも挑戦
こうした派遣事業と鳥害対策の二つの柱に加えて、近い将来タイでもチャレンジしてみたいと橋口MDが常々考えている取り組みが二つある。一つがMOS工法と呼ばれるビルなどの建築物の汚れを除去する清掃事業であり、もう一つが同社の十八番と言うべき下水管の清掃事業だ。 このうちMOS工法は、従来では取り切れなかったカビや酸化による外壁などの黒い汚れを、躯体を傷めることなく根元から除去し、再生を防ぐ画期的な清掃方法として知られる。日本の研究者が特別に開発した専用の洗浄剤を使用。一帯に散布するだけで効果が出る。人体への影響はなく、食品加工業などへの使用も可能。従来は汚れの上からペンキを塗るだけだったタイの市場を大きく変える可能性を秘めている。 もう一方の下水管の清掃事業は同社の最も得意とするところ。複雑に入り組んだバンコク地下の配管設備。詰まったら土砂に埋めて新設し、また詰まったら埋めるの繰り返しがこれまでの実態だった。高圧洗浄の技術を使えば、無駄なくたちどころに詰まりが除去できるのは明らかだ。加えて環境にも優しい。施工の許認可や機材の調達などハードルは残るが、追随を許さない高い技術力を持った総合環境企業としては挑んでみたい課題だ。 もう一つ、タイから日本市場へ人材の送り出しができないかについても強い関心を持っている。人口の減少から収縮が続く日本市場。同社の主力である清掃やメンテナンス要員も例外ではなかった。すでに10数人が日本本社で研修を始めている。持続可能な制度設計を目指している。 「日本ではとても出会わないような業種や他社の方々と交流が持てるのが、タイに赴任してみて感じた大きな魅力」と橋口MDは回想する。「そうした出会いや絆が、いずれ日本に本帰国した後にいずれ実を結ぶかも」とも。「快適以上」を創る環境創造企業は、産業や社会を取り巻くあらゆる場面で新たなサービスの展開を考えている。
20年4月1日掲載
会社情報
会社名 | HOMEX BUSINESS SERVICE (THAILAND) CO., LTD. |
---|---|
住所 | 32 Permpoom Building 3rd Floor, Soi Sukhumvit 87, Bangchak, Phrakanong, Bangkok 10260 Thailand |
お問い合わせ先 | Tel: +66-(0)2-048-3030 E-mail: contact@homexthailand.com |
担当者名 | 橋口(Hashiguchi)Tel: +66-(0)80-935-8212 E-mail: hashiguchi@homex-co.com |