タイ企業動向

第56回 「新型コロナ感染タイ国内の記録④」

タイは7月上旬、その時点で感染抑制されていた日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドについて「トラベル・バブル」の対象にすることを内定。8月上旬にも第1陣として、1日あたり1000人規模の外国人観光客を受け入れる準備に入った。  首都バンコクのほか、観光地として名高い東部パタヤー市や北部チェンマイ、チェンライ、南部のプーケットやサムイ、クラビ、ハートヤイなどを候補地として挙げ、「過去30日以上にわたり流行が起きていないこと」を条件に入国や入境を認める方針だった。最大の玄関口となるスワンナプーム空港でも、精度が95%以上というPCR検査設備を導入、入国時の短時間検査で旅行に支障が出ないよう配慮する計画を明らかにしていた。  ところが、その直後から日本では第2波とみられる新型コロナの感染者が急増。中国や韓国でも都市部を中心に感染拡大が終息しないことから、タイ政府は延期の検討を余儀なくされることとなった。7月9日に東京で過去最多の新規感染者224人が記録され、以後も感染者数が高止まりしていることで、無期限停止を訴える保健当局者も少なくない。  タイでは5月下旬から約50日間、国内での新規感染者は観測されていない。新たな感染者とされているのは海外から帰国したタイ人のみで、全員が空港でPCR検査を受けたうえで14日間の強制隔離となる。国内へのウイルス侵入は今のところほぼ完全に制御・遮断されており、政府の感染症対策センターの専門家も「第1波は終了した」している。  一方で、感染者ゼロが続く中でも、タイ国民のウイルスへの警戒は続いている。マスクの着用がなければ鉄道にも乗車できないし、コンビニエンスストアにも入店できない。日本から見れば行き過ぎを感じるかもしれないが、それに異を唱える空気は現地にはほとんどない。ひとえに、ウイルスへの危機意識を保っている。 (数値などは7月10日時点。つづく)

2020年8月1日掲載

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