泰日工業大学 ものづくりの教育現場から

第100回 『コロナ禍のASQ隔離生活』

このものづくりの教育現場シリーズは「今回がちょうど100回目になる記念号」と思っていましたが、コロナ禍が残念ながら続いており、大使館特別便による入国後の隔離ホテルの生活も参考になるとのご意見・要望がありましたので、標題テーマにさせていただきます。結果としてコロナ禍第3部となり、今回はタイ社会復帰の条件であるASQ(Alternative State Quarantine政府代替検疫)ホテルの過ごし方に焦点を当てます。  なお私は、タイ政府(公衆衛生省と防衛省指定)のASQ施設として、スワンナプーム空港に近いホテルの38平米の部屋に15泊しました。このような施設に泊まらないで済むようになることを願っていますが、囲み案内で、隔離ホテルの選択基準案を紹介しました。また私は血糖値が高くずっと薬を飲んでいましたが、炭水化物=糖質制限で血糖値を抑えることができることを知り、過去1年半薬なしの食事だけで過ごして来ましたが、この点もホテルの協力と自己規制で何とか乗り切ることができました。これを含めご参考にしていただければ幸いです。
筆者:吉原秀男(Yoshihara Hideo)泰日工業大学(TNI)学長顧問

隔離ホテルのキーワードと私の対応

隔離施設:日本語では隔離ホテルと言っていますが、ASQ=タイ政府の代替検疫施設で、バンコク内と近郊が115で圧倒的ですが、ALQ=Local地方の検疫施設41を含めると156 あるようです(2020.12.1現在)。タイのヨーロッパ向け英文メディアTHAIest.comのASQの項目を見ると、詳細に案内を見ることができます。私が大使館情報で調べた7・8月は30ぐらいでしたが、ホテル側も観光客激減の状況下、病院と組んでのこのサービスに積極的のようですし、病院主導の施設もあるようです。 費用:タイ人は無償で提供されるようですが、一般の外国人は、2.65万バーツから60万バーツのホテルを選びます。囲み案内で紹介しましたが、知人の経営者は、バンコク中心部の7.5万バーツの施設に泊まりましたが、飛行場から車でホテルに向かう途中で5000バーツの綿棒PCR検査をさせられ、部屋に誰も入ってくれず、汚れるまま、食事チョイスもほとんどなく、ぼったくりバー的な生活だったとこぼしていました。私は3.8万バーツのホテルを選び、設備は最新とは言えませんが、スタッフの対応が良く、電話などで尋ねれば防疫服を着て来て親切に対応してくれました。なお、4万バーツ未満の施設は2020.12.1現在33あるようです。  限られた条件と克服策:限られたスペースに15泊することから、健康・運動・食事制限を考え、ヨガマットでスクワットやストレッチをすること、タイは夏服で助かりますが、衣服は半ズボンやTシャツなど軽い運動ができるものを用意しました。選んだホテルでは、朝は7種、昼・夕は21種、さらにベジタリアン10種があり、タイ・西洋・和食・香港食などから選びますが、ルームサービスも可能です。また、糖質制限を考え、常温保存可能な紙パックの絹ごし豆腐、マヨネーズ、湯を注ぐだけのみそ汁セット、ドリップバッグのコーヒー、ロカボナッツ、高カカオ・ポリフェノール・チョコレートなどを携行しました。また煮込んだものを少なくし、あまり加工しない肉などを注文、サラダなど新鮮生野菜やスープはルームサービスを頼みました。また糖質が多いオレンジジュースなどは控え、コーヒー・紅茶中心にしました。 余暇の過ごし方:医師検診や看護師による毎日2回の検温などを除き、一人でテレビや読書、パソコン・携帯などを使う場合がほとんどですが、Eメールやラインやズームなどで外部と連絡を取りました。運動は、ストレッチのほか、500-1000歩が限界でしたが、1週間後からは、屋上に出られ、2-3000歩を歩くようにしました。 私の泊まった隔離ホテルの評価:限られた予算で、広さと設備・サービスなどの基準をどの程度満足させるかになりますが、タイ一般に説明書などでサービス内容が例示されていても、こちらで連絡しないと、やってくれないことがあります。私は、屋上休息や、一日おきの清掃などを含めて、食事内容、分からないこと、疑問に思ったことをやや臆面なく連絡しました。こちらから連絡しないとどうなったかという疑問が残りますが、結果として頼むと大変親切に対応してくれ、ありがたいと思っています。

●隔離ホテルのキーワード

◦15泊の日程表:写真は、私の宿泊した隔離ホテルの日程表で、腕にリストバンドをつけます。タイに入国した第1日目がディ0でホテルに入り、ディ15に無事退出するまで、最初はオレンジ色の「保菌者」扱いで、基本的に一人きりの生活で部屋の清掃などもします。その後黄色の要注意扱い、そして緑になって出られる日程になっています。(ホテルにより、サービス内容が違います)

◦部屋(写真)は38平米:ウォシュレットや電子レンジがありませんが、小さなベランダ付きの部屋で、運動にヨガマットを持ち込みました。またマスク・消毒液、洗剤・たらいなどがついていました。テレビ・シャワーのお湯調整など分からないことを電話で聞くと、防疫服を着て来て説明してくれました。

◦食事(写真):朝食は洋風にしましたが、7種類から選べます。昼夕食は21種類から選べました。また、私は血糖値管理=糖質制限で白米を少なくし、日本から持ち込んだ豆腐を食べました。オレンジジュースもやめ、コーヒーを頼みました。さらに、間食としてロカボナッツや高カカオ・チョコレートを持ち込みました。

◦検疫:ディ1での検診、毎日2回の体温測定、ディ5で、綿棒によるPCR検査を受け、パスするとディ7から黄色のリストバンドをもらい、屋上で40分過ごせます。また部屋の清掃とベッドメーキングも一日おきにしてくれるようになります。ディ11の綿棒PCR検査がパスすると緑になり、ディ13からはビジネスルームや水泳プールも利用でき、最後に最終証明をもらい解放されます。

●隔離ホテル(タイ政府代替検疫施設)選択の基準

◦7・8月大使館情報で選んだときは30ぐらいでしたが、いまはタイ全国で150ぐらいの隔離ホテルがあり、価格は2.65万から60万バーツまでさまざまです。

◦英文ですが、ネットのthaiest.comでASQ隔離ホテルの項を調べると、価格、ロケーション、スタッフの対応、Wi-Fi、食事、部屋の清潔度、バス・シャワー、食事などの評価があって分かり易くなっています。

◦知人経営者は病院主導の急造施設に泊まり、ややぼったくりバー的なサービスに憤慨していましたが、上記基準の中で、自分の優先基準をもとに、選択するのはいかがでしょう。

2021年1月1日掲載

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