泰日工業大学 ものづくりの教育現場から

第113回 『TNI節目の2022年』

タイでのものづくり教育を進める泰日工業大学(TNI)の例をもとに、中核産業人材の採用・育成について検討します。

2022年はあと2ヶ月あまりですが、TNIにとって設立15年、親機関TPA (泰日経済技術振興協会) と日本側カウンターパートのJTECS (日・タイ経済協力協会)設立50年、これら機関の創設貢献者・穂積五一氏生誕120年という節目の年でした。簡単に節目を振り返ると同時に大学の新しい流れ、そしてコロナ禍での私の対応を紹介させていただきます。

なお私事ですが、本号を最後に、日本に戻ることにしました。今後ともTNIのご支援ご協力をお願い致します。
筆者:吉原秀男(Yoshihara Hideo)泰日工業大学(TNI)学長顧問

武蔵野大学(MU)との交流:一日でしたが、各人自己紹介、TNIの日本との関係紹介、グループでワットポーやエメラルド寺院、メナム川などタイの文化・自然環境を巡りながら、相互の共通・異質点を理解し、今後の友情関係を築く良い機会でした。写真上:後列左から7人の学生とペンピモン経営学部MI学科長(ファシリテーター)、前列左から、吉原、神吉MU准教授、ラッティコン副学長、チャウィパABK-AOTSタイ同窓会マネジャー 。下:見学後の打ち解けた参加者。

この原稿を書いている9月の時点では、3年続くコロナ禍が漸く弱性化し、学内ではオンラインから通常授業に切り替わりました。8月後半、3年ぶりの大学祭、提携大学との交流が始まりました。提携10大学から13人を迎えてのサマープログラムや、慶応大学、そして写真の武蔵野大学との交流です。
1.TNIは、TPAが設立された35年後に、創設貢献者・穂積五一氏の遺志に沿ってTPAによって設立されました。2007年6月3学部(工学・情報技術学・経営学)4学科433人で開学しましたが、15年経過の本年、泰日国際学院(TNIC)が加わり、4学部学士課程21学科、修士課程4学科になりました。さらに今日のデジタル時代の変化は激しく、例えば、これまでの生産工学はロボット・リーン自動化・システムインテグレーション工学に名称を変更、他の学科も内容などをかなり変更しました。
現在の在学生数は3,500人、卒業生は9,210人、タイの日系企業で働く卒業生も3,000人ぐらい、また日本で働く卒業生も、コロナ禍で減りましたが、100人を超えています。卒業生の質は非常に高く、産業・ビジネス界に認められており、100% の雇用実績で、各人が卒業後のキャリアで大きな成功を収めています。
また社会に対する学術サービスや、国内外でさまざまな組織と継続的に学術協力も行っています。現在、日本の70以上の大学と協力協定を結んでおり、1年間に約200人の学生が交換留学しています。
TNICは、全ての授業を英語で学ぶ一方、日本語を全学生に教えています。その特徴は学際的に専門科目を各学科が効果的に共有し、工学・情報技術学・経営学と語学を学べることです。また日本人学生とアジア地域からの学生の在学交流を含め、より多くの国際的なネットワーク機関から学生と教師を交流することができます。
また最近社会人教育と生涯教育を始めました。学部と同じ内容ですが、土日に勉強します。高専卒業生が勉強すると2年半ぐらいで学士号を取得できます。今年10学科で社会人教育学生を募集し、授業を行っています。生涯教育として、一般の人も勉強できます。

2.自然の再認識:以下は、やや私事ですが、コロナ禍の過ごし方の参考です。この3年間は遠出や人との接触を限られ、住居近くの3公園をよく訪ねました。1925年バンコクで最初の公園になったルンピニ―公園は水オオトカゲや30種以上の野鳥がいること、この8月に正式オープンしたベンジャキティ森林公園は沼地をスカイウオークで回遊・眺望できること、またプロンポン駅に近いベンジャシリ公園は、よく管理されて歩き易く・運動し易い感じです。また前二者は遊歩道でつながっています。お陰で、タイの10ぐらいの木を楽しく鑑賞できるようになりました。
中でも、朱色のホウオウボク・黄色のコウエンボク・ピンクのねむの木は、同じマメ科で細かい羽状複葉の共通性があります。また仏教三霊樹(釈迦誕生時のムユウジュ・悟り時の菩提樹・入滅時の沙羅双樹)が、日本の木とは違うようですが、公園で見ることができます。さらに、コウノトリと餌になる大型タニシとピンク色の卵など、自然循環を意識させられました。

3.学習多く、ラッキーだった3回目のタイ滞在:私は世界40か国を訪ねましたが、縁あってタイに3回長期滞在しました。最初の2回は、駐在員暮らしで、車の交通でしたが、今回は電車とバスと歩きで、人々の生活ぶりや常識・非常識をよく理解できました。分からないことは、皆親切にスマイルで教えてくれました。

2022年11月1日掲載

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