泰日工業大学 ものづくりの教育現場から

第93回 『ホウレンソウ訓練などで人を育てる日系企業』

タイでのものづくり教育を進める泰日工業大学(TNI)の例をもとに、中核産業人材の採用・育成について検討します。本号では、TNIの卒業生のギッサナー パチャラニヨム(略称ソムMs. Kitsana Pracharasniyom Jast Asia Pacific社 シニア・システム・コンサルタント)さんに、TNIで実施した日系企業勉強会(Jセミナー)でプレゼンしていただいた内容を要約・紹介します。ソムさんは、TNI卒業後、日本留学、日本企業就職、外資企業就職後、今のタイの日系企業に就職。経験に基づいた日系企業の特徴説明は大変参考になります。
編者:吉原秀男(Yoshihara Hideo)泰日工業大学(TNI)学長顧問

プロフィール

•2009:アユタヤ女子学校卒業後、泰日工業大学(TNI)経営学部入学。

•2011:東北大学経済学部交換留学生 •2012:TNI経営学部卒業

•2012‐14:千葉工業大学院マネジメント工学部卒業 •2014‐17:(株)電通国際情報サービス(ISID)勤務。

•2017‐18:(株)Emeritus(Thailand)勤務

•2018年‐現在Jast Asia Pacific社でシニアコンサルタントとして勤務。主務はERPパッケージというツールを活用し顧客の業務改革を最適化させることについてコンサルティング。

➡ 4人家族で、高校までアユタヤ在。当時は日本ブームで、日本の食べ物や日本語に関心。TNI在学時、仙台の東北大学経済学部に1年間交換留学。大地震のあった時で、怖かった思い出。卒業後、TNI提携校の千葉工大大学院で修士号を取得。そのまま日本で挑戦したく、電通国際情報サービスに就職。日本人と同じ研修を3カ月受けた。厳しい研修だったが、非常に役立つ内容で、いまの自分がある。日本人の社会・生活は忙しく、オランダ案件を担当し、オランダにも滞在、結局それがタイで、オランダのEmeritis社就職になった。

➡ そして現在は、ERPシステム設計などの仕事に従事。各社のグローバル展開時期に合わせ、日本語、多言語、多基準でグローバル会計基準、またタイに特化した会計基準やマレーシアなどにも対応。

TNIへの入学理由:大学はチュラ大の経営学部にも合格したが、TNIは奨学金を貰えるし、日本語・英語また経営の知識に深い興味を持った。この3つを学べるところがTNIの特長。またグローバルなキャリアへ挑戦したいと強く考え、言語のみならず異文化の理解も重要と考えた。 タイ人から見た日本・日系企業の良い点

1.社員に対する考え方(育てていく):経験があるかどうかに関わらず、丁寧な研修・OJTを行う。外資企業に比べ、日系企業は社員を育てていく考えを持つ傾向がある。

➡ 日本企業は、メールの書き方、タクシーの乗り方など一から教えてくれた。

2.安定性:日系企業は解雇する場合が少なく、その結果、会社に長く務めることが考えられる。

➡ 外資に務めた経験からもこのことが言える。

3.丁寧な仕事の進め方:多くの日系企業では仕事の仕方が仕組み化されていて、仕事はやり易く、管理しやすい。

➡分からないとき、先輩とマニュアルが頼りになる。

4.報・連・相のマインドを持つ:日系企業において当たり前のアクションと考えられているので、報・連・相を常に意識しておくことでチームワークを高め、ミスが少なく仕事をスムーズに進めることができる。

➡ コミュニケーション問題は重要で、仕事しやすく、整理しやすい。プロジェクトの進捗状況が分かり、毎日キャッチアップできる。(次号に続く)

20年6月1日掲載

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