AI搭載の新型高性能放電加工機SGシリーズを投入 METALEX2020で初お目見え

小物超高精度加工から大物高生産性加工まで豊富なラインナップで放電加工機やレーザ加工機などを生産する三菱電機は、タイ市場に高性能高生産性タイプの形彫放電加工機「SGシリーズ」を新規投入する。11月18日からバンコクで開催される東南アジア最大級の工業見本市「METALEX 2020」に初出展。事実上のお披露目式典としていく方針だ。タイで進む大量生産部品の生産ニーズに応えるのが目的の新型高性能放電加工機。人工知能(AI)が搭載され、生産性も飛躍的に向上していくことが予想される。

AI技術ブランド「Maisart(マイサート)」

同社のタイ法人MITSUBISHI ELECTRIC AUTOMATION (THAILAND) CO.,LTD.(三菱電機タイランド)が新たに投入するSGシリーズは、日本国内で2019年に先行販売された高性能モデル。  最大の特徴は、AI技術を搭載したという点に尽きよう。従来機より蓄積されたこれまでの膨大な加工データをインプット。三菱電機のセンシング技術により加工状態を監視し、AI技術が最適な加工状態をリアルタイムに制御していく。最上位機種であるSV-Pシリーズで初搭載されたAI技術を惜しむことなく、SGシリーズにも搭載しているのだから、市場に与えるインパクトは少なくないはずだ。  搭載するAI技術ブランド「Maisart(マイサート)」は、Mitsubishi Electric’s AI creates the State-of-the-ART in technologyの略。AIをめぐって三菱電機グループが総力を挙げて開発を続けてきた基盤技術、応用技術の総称だ。「全ての機器をより賢くする」がグループのAI戦略でもある。放電加工機についても満を持しての搭載となった。  最新のAI技術だけでなく、機械剛性アップも図っており、中大面積加工をはじめとする基本加工性能が向上。高性能放電加工機として、最良の機能をもった新製品となっている。

最高の売れ筋機としての位置づけ

放電加工機は非接触で加工を進めていくことから、放出する火花の安定性が最終的な製品の善し悪しを左右する。ここでも同社はこだわりを見せた。最上位機種SV-Pシリーズと同等の放電技術をSGシリーズにも採用。顧客の期待を上回る製品を提供することで、更なるニーズに応えていく姿勢を貫いた。  SGシリーズにおいても、従来機同様に被加工物サイズに応じた8型機と12型機の2機種を用意。今後は大型加工物に対応した中大型機の開発を検討している。年々、金型部品については大型化、超高精度化が進んでおり、その状況をフルサポートできる製品ラインナップの拡充を進める。欧米市場などですでに始まっている金型パーツの大型化と超高精度化はタイでも今後進んでいくと同社は読む。ライト、バンパー、車載など、中型化、大型化を見据えた製品ラインナップになっている。  それでいて、より導入が進みやすいようにと、高性能、高機能化したにもかかわらず、従来機と同じ価格帯に据え置いたこともユーザーには朗報と言えるだろう。SGシリーズの性能は、AI機能だけでなく多くの機能を最上位機種SV-Pシリーズより受け継いている。タイにおいても最高の売れ筋機としての位置づけを明確にして、自動車・電機といった金型部品などの生産の場で威力を発揮させていく戦略だ。

売り切りでは終わらせない

一方、売り切りでは終わらせないのが三菱電機タイランドの基本姿勢でもある。群を抜いたサービス力は業界でも一目置かれるところ。顧客満足度の向上のため、サービス技術力の向上にリソースの多くを投入している。  マネージャーの平木克典氏は、もともとが日本のサービス部門の出身。タイ法人では営業全般も担うが、古巣で培ったサービスのあり方や考え方をタイ人スタッフにも伝えたいと日々奮闘を続けている。「サービスとは、つまるところ個人の経験値とその共有」が信念。これを上昇させるためのさまざまな取り組みを行っている。  タイ人にはあまり馴染みのない、メモ習慣化やドキュメント作成の奨励もその一つ。「メモを取るだけではなく、そこからサービスマニュアル等のドキュメントを作成し、情報の蓄積と共有を図ることは、今後の更なるサービス技術力の向上に必ず必要」と平木氏。保守点検やトラブルなどの場面に備え、起こりうる事態を想定した在庫部品の確保についても指示をおこなっている。「ここはタイ。いつか日本人がいなくなることを念頭に置いた組織作りが必要だ」という考えが根底にある。

タイをハブに周辺国にも

三菱電機タイランドは、40年以上前にモータの生産を手掛けたのが事業の興り。その後、1999年になって放電加工機の販売・サービスに乗り出した。現在では、これら2事業に加え、電力計の生産、ポンプ、ダイキャストの計5事業を柱としている。  このうち、放電加工機事業では、タイをハブとしたアセアン周辺国への進出も視野に入れている。開発の始まったミャンマーやカンボジア、ラオス。いずれもタイ法人がカバーして事業戦略を組み立てていく方針だ。  来る「METALEX 2020」では、最新機のSGシリーズを含め、放電加工機、レーザ加工機、ワイヤ放電加工機の計5台を出展していく予定だ。最大の見せ場はSGシリーズとはなるものの、豊富なラインナップでタイ市場における存在感を勝ち取ろうと、日ごとにボルテージも高まっている。2021年に向けた面白い存在になりそうだ。

2020年11月1日掲載

会社情報

会社名 Mitsubishi Electric Automation (Thailand) Co., Ltd.
住所 Bang-Chan Industrial Estate No.111 Soi Serithai 54 T.Kannayao,A.Kannayao,Bangkok 10230 Thailand
お問い合わせ先 Tel: (66)2517-1326,(66)2919-9873 Ext.672 Fax: (66)2919-8717 URL:www.meath-co.com E-mail: hiraki@meath.co.th Mobile: 08-1870-1992
担当者名 Hiraki
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