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開催リポート Manufacturing Expo 2018 4日間で約9万人が来場 各国の先端技術がタイに集結

東南アジア最大級の製造業見本市「Manufacturing Expo」が6月20日から23日までバンコク国際貿易展示場(BITEC)で開催され、46カ国から2,400を超えるブランドが出展し、4日間で9万769人(主催者発表)が来場した。昨年の来場者7万9,904人を1万人近く上回った。来年は、6月19日から22日までBITECで開催されることが決まっている。

開会式の席でソムチャイ工業省副大臣は「展示されているアイデアと知識の融合、官民のコラボレーションは、大企業から中小企業までを包括的な成長を実現し、タイランド4.0時代の成功へと導くでしょう」と語った。主催者リードトレーデックスのイサラ社長は「来場者は新たなテクノロジーに触れられるほか、通常より安い価格や良いサービス内容で販売も後押しされています」と話した。

産業高度化を至上命題とするタイにとって、自動化は必要不可欠なテーマ。展示会でも、ロボティクスクラスターパビリオンが設けられるなど、自動化設備が積極的にアピールされた。中でも今回目についたのは、一部メーカーが協働ロボットの出品を始めたことだ。協働ロボットは、文字の通り人と協力して働くことができるロボット。ロボットと人を分ける策を設ける必要がなく、プログラミングも容易。来辺変更などに対して、よりフレキシブルに対応することができる。NACHIでは、昨年日本で発表された同社初の協働ロボット「CZ10」をタイで初公開した。デンソーもダイレクトティーチング機能を備えた人協働ロボット「COBOTTA」を出展、協働ロボットの大手ユニバーサルロボットは3種のロボットを展示した。タイのプレミアアートメーションセンターが出品した台湾メーカー、テックマンロボットの協働ロボットはビジョン内蔵で、ティーチングの簡単さも特徴。また、ABBでは試験段階ながらVRティーチングを披露している。これらはまだタイでの本格的な市場開拓はこれからだが、タイ産業界の新たな可能性を開くのか注目される。

海外市場をうかがう日本企業の動きも活発だ。東京都中小企業振興公社では、10社のブースを開設。通訳を各ブースに配置して商談をサポートした。コスモ計器では空気圧を用いてひび割れなどを検査するエアリークテスター、音または振動の波形を解析、定量化して人の感覚に近い製品検査を行うことができる異音検査システムなどをPRした。

日本だけではなく、各国のパビリオンも盛況だった。今年の台湾パビリオンでは最先端のマシンとソリューションをアピールした。アドバンテックのオートメーション産業4.0のソリューションや、アクショムテックによる産業保守管理ソリューション、ハイウィンマイクロシステムのハイテクモーター技術、心源工業のSAG-DEアングルヘッドホルダー、テックマンロボットのTM-5ロボットなどが並んだ。タイ駐在台北文化経済事務所のジェイソン・サウィー所長は「台湾とタイの通商、投資の関係は着実に深まっています。昨年の両国の通商は108億ドルを数えました。また台湾はタイの通商相手国としては世界11位にあります」と語る。昨年の台湾の機械・機材の輸出は世界のベスト5に入る盛況だったが、先端的なICT産業とマシン、例えばIoT、ビッグデータ技術が、官民協力のもとにアピールされた。

 

商談件数約3,500件 3日間で約1万人来場

6月20日から22日まで同じBITECではNCネットワークのグループ会社FNA(Thailand)、リードトレーデックス主催の「Mfairバンコク2018ものづくり商談会」が開催された。5回目となった今回は、162社が出展し、期間中に1万713人が来場した。ビッグバイヤーは昨年比2倍の21社となった。会期中連日商談は行われ、3日間の商談数は3,524件に上った。上海では既に20回目を数えている同商談会。NCネットワークの井上直樹取締役は「中国では出展企業の3割がローカルメーカーです。タイでもローカル企業の参加が増えて、より日系企業と交流が深められるようにしたい。タイでも10回、20回と続けられれば」と話す。

会場で行われたのは商談だけではない。初日には、NCネットワークの内原康雄社長ら製造業関係企業社長らによる製造業応援バンド「Combat 5」がミニライブを披露。2日目には会場内の特設会場で「IoT」×「製造業」ものづくりの未来を考えるセミナーが行われた。日立アジア(タイランド)、ユー・エム・シー・エレクトロニクス、バンコクコマツセールスの各社のIoT活用事例などが紹介された。

3日目にはタイで2回目となる全日本製造業コマ大戦バンコク場所が開かれた。コマ大戦は直径20,00mm以下、全長60,00㎜以下のコマを持ち寄り、一対一で対戦するもので、相手のコマをケミカルウッド製の土俵(Φ250㎜、R700㎜)の外に出すか、より長い時間回っていることができれば勝利となる。当日は、日系企業、ローカル企業、大学生など計39チームが参加。午前中は8つに分かれたグループステージ、午後からは勝ち残った8チームによるトーナメントが行われた。熾烈な戦いの結果、NK MECHATRONICSが優勝を果たし日本での大会に招待されることになった。女性チームの検討や、サッカーの元タイ代表チャルムウット氏の行司裁きなど、さまざまな見どころがあった大会だった。現地で大会を観覧した全日本製造業コマ大戦協会の緑川賢司名誉顧問 は「日本顔負けのコマもあったと思う。応援の声援が大きく、日本にはあまりない女性の応援もあった」と感想を話した。

 

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