タイ節税講座
Chapter 2 第1回 タイの所得税
今回から、1年かけてタイの所得税と保険についてお話してきたいと思っています。皆様、今ご自身がどのくらい税金を支払っているか把握されてますでしょうか?タイで働く皆様の多くはタイで税金を支払っているかと思います。駐在の方は日本とタイの2つの国から収入を得ている方もいらっしゃるでしょう。日本とタイを行き来している方や両国から収入がある方は、どちらの国で税金を納める必要があるのでしょうか。
タイ国の所得税法によると、180日以上居住した国で納税する義務があるとされております。日本とタイを行き来しているケースでも、180日以上タイに居住している場合はタイで税金を支払う必要があります。ご駐在の方で日本本社からの収入がある場合は、日本での納税後、タイで合算してタイの税率に従って所得税を支払う必要があるのでご注意ください。日本の納税額を差し引いた差額分をタイで納めることになります。
ではタイ全体で所得税を支払っている人は何割くらいいるのでしょうか。2014年のデータによると、タイの人口が約6,500万人。そのうち働いている人は約3,800万人となります。ただ、タイ人の場合、年収が課税される額に満たないケースや申告自体をしていないケースがあるため、働いているが税金を支払っていない人が多くいます。年収額が15万バーツ以下で非課税対象の方や、年収額が30万バーツ程度の方でも各控除などにより年収額が下がり実質的には非課税対象になる方もいます。非課税対象の割合は約8割を占めており、多くのタイ人は税金を支払っていない状況となります。
所得税を支払っているタイ人の男女比でみると、女性約54%、男性約37%となっています。タイでは男性より女性の方が所得税を支払っています。タイ人女性がよく働くイメージは本当かもしれませんね(ちなみにその他で約8%となっています)。
一般的にタイで働く日本人の場合は、最低給与が5万バーツからとされております。タイ人の平均月給与は2.5万バーツ程度のため、日本人がどのくらい多くもらっているか分かりますね。そのため、タイで働いているほとんどの日本人の方は、タイで多くの税金を支払っている状況です(駐在員の方の中には、会社で税金負担がされているケースもあるかと思いますが、いずれにしても支払い税金額は大きいです)。
では、タイの税率表からご自身の税金が実際にいくらくらいなのか調べてみましょう。
まずご自身の年収額を計算してみます。毎月の給与×12カ月分にボーナスなどがあれば合算します。ちなみに、毎月の給与の他、家賃補助やコンドミニアムなどからの家賃収入なども含まれます。
【税率表】
課税所得 | 税率 | 最大課税額 | 最大累計税額 |
0~150,000バーツ | 免税 | ― | ― |
150,001~300,000バーツ | 5% | 7,500バーツ | 7,500バーツ |
300,001~500,000バーツ | 10% | 20,000バーツ | 27,500バーツ |
500,001~750,000バーツ | 15% | 37,500バーツ | 65,000バーツ |
750,001~1,000,000バーツ | 20% | 500,000バーツ | 115,000バーツ |
1,000,001~2,000,000バーツ | 25% | 250,000バーツ | 365,000バーツ |
2,000,001~5,000,000バーツ | 30% | 900,000バーツ | 1,265,000バーツ |
5,000,000バーツ以上 | 355 |
皆様、ご自身の年収額はどのくらいか計算できましたでしょうか?例えば年収が120万バーツの場合、どのくらいの所得税がかかっているか計算してみます。
【年収120万バーツの場合】
年収120万バーツの税率は25%です。100万バーツに対しての最大累計税額は11万5千バーツ。残りの20万バーツに対する税額は5万バーツ。
(120万バーツ-100万バーツ)×25%=5万バーツ。
11万5千バーツ+5万バーツ=16万5千バーツ。
年間16万5千バーツもの所得税を支払っていることになります(各控除除く)。月で考えると、毎月13,750バーツの税金を支払っています!
いかがでしょうか。とても大きな金額だと思いませんか?タイで税金が高いと感じるのは、タイの税率の階段が日本より急だからです。そのため日本にいた時よりも税金が高いなと感じるかと思います。この負担の多い税金額を少しでも減らしたいと思いませんか?私たち外国人でも、タイで税金を大きく減らすことができます!次回は実際にどのような控除があるのか、どのくらい節税することができるのかご紹介いたします。
【著者】 佐々木 扶美 タイ資産運用アドバイザー
MDRT4年連続会員(世界中の生命保険・金融サービス専門職のトップクラスのメンバー。MDRTメンバーはビジネスと地域社会のリーダーとして、生命保険と金融サービスの専門家として世界中で認知されている)
在タイ12年。利回りの高い保険を活用した法人税、個人所得税の節税コンサルティング、および土地を使った資産運用のアドバイスを行う。配偶者はタイ人、タイ永住組。
メール:info@siamrcs.com
www.aseanlandbanking.com
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