泰日工業大学 ものづくりの教育現場から
第91回 『SMEs:成長のための未来のエンジン』
タイでのものづくり教育を進める泰日工業大学(TNI)の例をもとに、中核産業人材の採用・育成について検討します。本号では前号に続き、タイの中小政策についてのスワンチャイ中小企業振興庁前長官の話です。日系企業の皆さんもこのOSMEPを活用されてみてはいかがでしょうか?
編者:吉原秀男(Yoshihara Hideo)泰日工業大学(TNI)学長顧問
3.タイランド4.0
3-1.価値ベースの経済を目指して:3つの要素
(1)高所得国:“知識を基盤とした経済”の発展を通じて、高所得国になることを目的。研究開発・科学技術・創造的思考・イノベーションに重点を置く。
(2)包摂的な社会: 繁栄と開発へ公平にアクセスできる参加型社会を目指す。
(3)持続可能な成長と開発に焦点: 環境を破壊することなく、経済成長と開発を成し遂げるため、持続可能な成長と開発に焦点。
➡プラユット首相提案のタイランド4.0は、この3点に力点を置き、タイ経済成長をフォローしています。
3-2.価値ベースの経済を目指して: 成長のための新しい原動力
➡タイ全体の中で、サービス業40%、商業30%、生産30%の割合。
3-3.タイのインフラ開発戦略(2015-2022)
•総投資額は、1兆9000億バーツ(500億USドル)。
•都市間鉄道網の拡大:鉄道網のアップグレード、複線鉄道の増加、鉄道線路軌道の標準化(1,435メートル)。
•高速道路の能力向上:高速道路を4車線以上に拡大、幹線道路に沿って、コンテナーヤードなどの施設開発。
•バンコク首都圏における大量輸送システムの開発:バンコクとその近郊における大量輸送鉄道システムの拡張、天然ガス(NGV)バスの確保。
•海上輸送網の開発・航空輸送能力の向上:港湾施設能力の向上、空港能力の向上、MRO*産業の地域センターとして航空産業団地の設立 (*=MROとは整備・補修・操作(Maintenance Repair Operations)のこと)。
➡上記は2022年目標で、高速鉄道・運送などの革新を目指しています。
3-4.タイ開発計画鳥瞰
3-5.タイの産業開発政策 高付加価値テーマのOSMEPの政策。クラスター、R&D、一村一品、デジタル経済などで予算配分
➡新起業者が増加、生産性を上げ、輸出、機械更新など協力。300万社中90%はマイクロSME。年百万バーツの収入に。
4. 成長エンジンとしての中小企業 タイは日本と違い、93%は家族経営的マイクロビジネス。バンコクはEECに関連するが、ウドンタニ―、コンケン、スラタニー、プーケット、ソンクラーなどの地方はこれから成長の可能性が大きく、日本企業に期待。半年前、懐かしい気持ちで長崎県などを訪ね、日本企業が関わる意義を確認。私の新たな勤務先のPTGエナジー会社でも強い点は、地方サポート。タイの中小企業のため日本の食品・飲料製品をタイに誘致・協力することで、互いに成長したく、コデザイン、コクリエーション、プロモーションで共に成長することを願っています。
4-1.タイ中小企業プロフィール2017
4-2.タイ中小企業振興プラン=ビジョン:◎タイの中小企業がタイ経済の主要な原動力になるよう強化する。
4-3.振興プラン=目標:◎中小企業のGDPがタイ全体の50%を占めるように成長する。
4-4.振興プラン=コンセプト:◎中小企業が知識・独創性・イノベーションによって、ビジネスを運営できるようにするため、エコシステムの創造と中小企業の能力開発に焦点。
4-5.振興プラン:使命と方向性
20年4月1日掲載