タカハシ社長の南国奮闘録
第100話 ご縁に感謝
このコラムを書く機会を頂いてから8年4ヵ月、いよいよ100話となった。 ひとえに読者の皆様、支えてくださったUマシン編集部の皆様のおかげです。ありがとうございます。 書き始めた頃は、無我夢中で目の前で繰り広げられる出来事を綴った。思い起こせば様々なことがあった。Uマシン片手に掲載企業を営業でまわったこと、ストライキにあって会社が厳しい状態に置かれて立ち行かなくなったこと、アユタヤの水害によりお客様が撤退し、苦戦を強いられたこと……。 そんな中、私が頑張れたのは、日本の経営者仲間たちがタイにいる私のところへわざわざ足を運んでくれたからだ。海外自体が初めてという友人や、家族連れで遊びに来てくれた友人もいた。何度も来るうちにタイ市場に魅力を感じ、グローバル化の拠点として進出を決めた仲間もいた。 仲間の進出をサポートするにあたり、大きな壁となったのが会計処理だ。日本で当たり前のことがタイでは理解されず、次々に問題が起きた。日本の経理は少しのズレも許されないが、タイではどんぶり勘定で不正が行われることが日常茶飯事だった。月次決算書が上がってこないことや、現場責任者の横領など、お金についての価値観のズレが一番のネックとなり日系企業の経営者を困らせていた。 そこで生まれたのがAsia Business Consulting(ABC)だ。同じ志を持つ仲間と共に立ち上げた日系企業向けの会計会社で、日本の会計システムを取り入れている。こうしたサポートによって日本から進出した企業は今では30社近くになり、多くの仲間が共にタイの地で切磋琢磨している。 右も左もわからないまま始めたタイ進出、失敗談や嬉しかった話、タイでのいろんな出来事を、仲間と夜が更けるまで語らった。同じ志を持つ人たちと夢を語りあえたことは、私の人生を豊かにしてくれた。サポートする側だったはずが、支えられていたのは私の方だったかもしれない。そんな仲間には感謝してもしきれない。 また、この記事を毎月書くことで、タイでの出来事を心に書きとめることができた。時には反省、時には宣言、いろんな思いを綴った。その中でも必ず誰かとの出会いがあった。工場移設の時に出会った人、会計のおばちゃん、同じ志を持つ仲間 Uマシン編集部の方々、記事を見てメールや手紙を送ってくれた方々、そしてテクニアタイとABCの仲間たち。日本では出会うことのなかった人たちとの多くのご縁に支えられ、今があるということに改めて感謝だ。 タイでのモノづくりは、すべて人のご縁で出来上がっている。 100話目のタイミングで、コロナショック真っただ中。ロックダウンにより売上が作れず、外資企業は国内企業よりも厳しい状況に置かれている。ゴルフ場も飲食店も何もかも閉鎖され、部屋に閉じこもらなければならない状況はとてもつらい。コロナストレスで皆、息が詰まりそうだ。何よりも、心配で行きたくてもタイのみんなに会いに行けない状況がつらい。 しかし現代は、メールやテレビ電話がある便利な時代。今できることは、タイで一緒に頑張る人に声を掛け、コミュニケーションを絶やさないことだ。使えるものはすべて駆使し、ご縁のある皆さんをできる限りサポートしていきたい。 そして今、このコラムを目にしてくれている方々に、少しでも明るい話を届けられるようエールを送り続けたい。
20年5月01日掲載