タイ版 会計・税務・法務

【第69回】 新BOI制度の概要について

Q:タイにおける投資奨励制度が新しくなったと聞きましたが。

A:はい。2015年1月1日より、投資委員会(BOI)による投資奨励7ヶ年戦略(2015年~2021年)に基づく新制度が有効になり、2015年に入って申請がなされたプロジェクトから適用になることとなりました。

他方、旧制度に基づいて受けたプロジェクトに対する投資恩典については、その内容のまま恩典の期限まで有効であるとされています。

Q:新旧のBOI制度で、どのような変更点があったのでしょうか。

A:大まかには、旧制度が『ゾーンによる恩典』を軸とする制度だったのに対し、新制度が『業種・メリットによる恩典』となった点が挙げられると思われます。

すなわち、新制度ではプロジェクトの所在地によらず、まずプロジェクトの業種に基づいて基礎恩典を決定し、当該プロジェクトが特定のメリット(競争力向上・地方分散・産業地区開発)を有する場合は追加恩典としてメリットベースの恩典を与える、という考え方が取られることになります。

また、旧制度では投資奨励の対象となり得た一部の業種(例:文房具あるいはその部品の製造)が、投資奨励対象から外されました。

Q:サービス業に関連するBOI対象業種に関する変更点はあるでしょうか。

A:サービス業においても、一部の業種が投資奨励対象から外されています。

一方で、旧制度上の『部品及び半製品の国際調達事務所(International Procurement Office (IPO))に相当する『国際貿易事業(International Trading Center)』では、従来必要とされていた倉庫及び倉庫管理システムの設置や、一定量以上の国内調達といった要件が無くなり、適用可能業態が広くなったという変更が見られます。

また、旧制度上の『地域事業本部(Regional Operating Headquarters (ROH))に相当する『地域統括本部(International Headquarters)』でも、適用可能な事業内容が拡大されています。

Q:新制度の内容については、どのように情報を得るのが良いでしょうか。

A:BOIのホームページ内に新投資奨励制度に関する布告や、昨年の12月以降開催されている説明会で使用されたプレゼンテーションが掲載されており、その中で前項で言及しました投資奨励から外された業種についても一部記載がありますので、まずはそちらを当たられるのが良いと思われます。

なお、本文書は一般的な検討を行ったものであり、個別のケースで問題が発生した場合には、多くの場合関連法規の検討や専門家のアドバイスが必要となります。そのため、本文書の著者及び所属先は、本文書の掲載内容に基づいて実施された行為の結果、並びに誤情報及び不備については責任を負いかねますのでご了承ください。

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