タカハシ社長の南国奮闘録

第79話 実業団への挑戦

テクニアは、「郡上アベハ」というフットサルチームのロイヤルスポンサーを務めている。チームが発足したのは2017年のシーズンからで、最初はとにかく郡上でメンバーをかき集めて試合をこなした。

しかし、上位リーグには上がれなかった。今シーズンも現時点での対戦成績は一勝一敗。まだ試合を楽しむ程度のレベルで、とても地域のためという高い志や、実業団という形にまでは至っていない。根底からの大きな改善が必要だ。

何をどのように変えていくのかに触れる前に、スポンサーを務めるに至った経緯を話しておきたい。

私は学生時代、ミュージシャンを志し、スポーツとは無縁だったが、社会人になってからキングカズに憧れてサッカーを始めた。

前職でイギリスに赴任していたころは、インドアサッカーの現地チームに混ぜてもらい、毎週のように参加して、どんどん好きになっていった。来年50歳になるにも関わらず、今でも月に1度はピッチ立っている。

そんな私に、ある日、経営の師匠(菊水化学工業の創業者)がこうおっしゃった。

「中小企業は採用に困る。だから高橋さん、実業団チームを作るんですよ」

翌日、緊急役員会にて、フットサルチームを発足し、Fリーグ優勝を真剣に目指す選手兼社員の採用を始めることを採択した。これが発足の経緯である。

しかし、いざ発足したものの、なかなか採用には結びつかず、ひとまずサッカー経験のある社員1人と、地元のサッカー好きを中心にチームを構成してスタートすることとなった。

その結果、選手の成長やチームのルールはおろか、発足の意義や志、目標も共有できないままシーズンが終わり、下部リーグで低迷することに。これではチームを勝たせてあげることも、郡上市民を元気にすることもできず、地元企業テクニアがスポンサーというだけの自己満足的な内容でしかない。

そこで今シーズンは地固めをするべく、地元住民に愛されるチームをつくり、サポーターが選手とともにあるような風土に変えていくための話し合いを始めた。

チームの育成には、監督やマネージャー、選手兼テクニカルコーチなど、やはりその道のプロや仕掛け人の力が必要だ。まずはそこの採用から始めて、思いをシェアしていくことにした。

タイでもサッカーやフットサル、セパタクローはとても人気のスポーツで、日本のJリーガーもたくさん移籍している。そういえば以前、ここで紹介した私の友人、アンシンサービス24の小林社長もメキシコのプロリーグで活躍した経験を持つ。彼とはサッカーつながりで仕事仲間を紹介してもらうなど、とてもいいお付き合いをさせていただいている。

今後は外国人枠を用意して、タイ人選手をスカウトすることも考えている。国境の壁はあるかもしれないが、スポーツを通じて交流を深め、社風とチーム風土を高めていきたい。

Fリーグ優勝を本気で目指している郡上アベハは今、ゼネラルマネージャー、フロント、コーチを募集中だ。

高橋 弘茂
名古屋市中川区の精密加工部品メーカー『TEKNIA』の4代目。1969年愛知県生まれ。1989年に同社の前身『高橋兄弟鉄工所』に見習い入社。現場経験を積んだ後、『Yamazaki machinery UK ltd』などを経て2001年8月『タカハシテクニア』代表取締役就任。現在はVITPROJECT (THAILAND) アドバイザーを勤めるほか、マネジ個性学コンサルタント(セミナー開催)なども手掛ける。
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