Hola! メキシコ日系進出通信
第4回 メキシコの会社設立、移民法
前回はメキシコの会社形態、会社組織についてお話しさせていただきました。今回はメキシコでの会社設立および、滞在・就労に係る移民法などについてお話しさせていただきます。まずはメキシコでの会社設立についてです。
設立に必要な書類・情報
会社名:3つの候補名の提出が必要です(候補名を2つ、4つなどにはできません。また3つの候補名の中でも優先順位をつけることができます。万が一、3つの候補名がすべてNGだった場合は新たに3つの候補名を申請する必要があります)。
事業目的:主要なものを5~6つ程度を記載することが一般的です。今後の事業拡大も視野に入れて、幅広く記載しておくことは可能ですが、あまりに多岐に記載し過ぎると、会社の目的が明確でなく顧客から信用を得にくくなります。また融資が受けられづらくなることも日本と同様に想定されます。加えてメキシコの場合は、公証人が定款を確認する際に不信感を抱き、会社設立の障害となるリスクもあります。
本店所在地:「市町村名まで」を定めます。定款への記載は、会社設立の代行業者(コンサルティング)の住所とするケースもあります。
資本金額:最低資本金は日本の1円起業と同じく、1ペソから可能です。
株主の構成:最低2名必要。株主は個人、法人、海外居住者、メキシコ居住者などを問いません。こちらの点はタイと比較するとシンプルです。
会社組織(経営機関):取締役会もしくは唯一代表取締役を選択します。※詳細内容は前号をご覧ください
監査役:選任は必須で、会計監査会社やコンサルタント会社などの社外の自然人とすることが一般的です。
上記7点を公証人役場に提出後、内容確認が取れれば、公証人役場で署名をして会社設立となります。会社設立後の営業開始までに必要手続きとしては、以下の手続きが代表的です。
連保納税者登録=RFC(Registro Federal de Contribuyentes)の取得。日本のマイナンバー制度のようなものです。法人・個人それぞれに識別番号が与えられます
・FIELおよびCIEC手続き。電子化された署名の申請手続きです
・外国資本登録
・商業登記
・銀行口座開設
その他にも、社会保障・福利厚生、貿易関連、知的財産関連、雇用関連、工場・オフィス関連、本人関連、その他特殊分野の許認可登録など、分野や業種により必要な手続きは異なります。
次に、滞在・就労に係る移民法についてです。メキシコ入国に際しては、空港などにある入国審査場の入国審査官に対して、パスポートおよび、査証または在留許可証、加えて記入済みのFMMカードを提出しなければいけません。メキシコにおける在留資格は、法令においては9つに区分されています。それらのなかでも、日本人(社会人)が特に利用する在留資格は下記3点です。
- 報酬を得る活動を行う許可のない訪問者
入国日より最長180日までの滞在が可能ですが更新はできません。加えて、就労し報酬を得る活動もできません。主として、旅行者や商用の短期出張者などがこの在留資格に該当します。記入済みFMMカードを入国審査官に提出することで上記期間内の在留が認められます(記入済みFMMカードは出国の際に提出)。
- 一時居住者
現地法人などから仕事のオファーを受けて、180日を超えてメキシコで就労し、報酬を得る許可を希望する者に付与されます。初回の一時居住者カード発給時には1年間の有効期限が付与されています。その有効期限の30日前から更新手続きが可能となります。最大更新期間は、最初に在留資格を取得した日から起算して満4年までの期間となります。
- 永住者
前述、2.一時居住者での在留資格期限を超えると、永住者の在留資格を申請しなければなりません。この永住者は無期限で在留することが認められる資格であり、出入国の回数制限や、メキシコ国外での滞在期間にも制限がありません。
次号では、実際にメキシコで働くことや、メキシコ人の方々の一般的な気質などについて触れさせていただきます。