在外日系企業に絶対の安心感を 高品質のIT関連サービス提供

開発から設計・製造、販売、顧客管理、総務・経理に至るまで、あらゆる場面に介在するのがデジタル情報。企業活動ともなればその量は膨大で、コンピュータによって一元管理されているのが一般的だ。ゆえに、いったん喪失あるいは流出ともなれば企業活動はたちまち困難に陥り、事業の継続さえもおぼつかなくなる。産業の集積するタイでもリスクは同様で、進出企業各社は早期の確実な対策が求められている。こうした中、日本で20年以上の経験を積み、中国市場だけでも約1,000社の実績を持つフューチャースピリッツ社(京都)がタイ進出満5年を迎えた。さらなる飛躍で日系企業のサポートを目指す同社。視線の先には広大な東南アジア市場がある。

日本で20年以上、中国で日系企業向けサーバー提供実績№1

「システムは動いて当たり前。産業が複雑化・高度化する中で、安定性・安心感という要素はこの先、絶対的に求められる重要な課題。一方で、その必要性はにわかには分かりづらく、なかなか認識されません。ITトラブルで貴重な時間を失うなんて、もったいない。私たちは日系企業各社が安心して事業展開できるよう、そのお手伝いをしていきたい。そのための啓蒙活動も続けていくつもりです」

こう話すのは、同社代表取締役の谷孝大(たにたか・だい)氏。1977年兵庫県生まれ。幼少期からコンピュータに親しみ、その可能性を見出して大学在学中の1996年、19歳で個人事業として創業。98年に合資会社、2000年に有限会社、01年に株式会社へと発展改組し、現在に至っている。ITインフラを提供するサーバーホスティング事業、ホームページでマーケティングを行うためのツールを提供するマーケティングソリューション事業、ホームページ作成等のウェブプロデュース事業、そしてこれら日本で得たノウハウや知見を海外展開するグローバル事業の4事業を主な柱とする。

海外進出は、顧客からの声がけがきっかけだった。「外国でもIT周りの面倒を見てくれないか」。海外で活躍する主要なグローバル企業を支えているのが、現地で資材や部品などを生産・納品、あるいはサービスを提供する多くの中小零細企業。ところが、異国の地でサーバーを自前で管理できる企業などごくわずか。このため、海外から日本のサーバーにアクセスしようとするのだが、今度は回線が不安定だったり、現地政府の検閲を受けたりと、何かと問題を抱えていた。進出国の国内にサーバーを設置する必要に迫られていた。

とはいえ、相手国内にそれだけの技術やサービスを提供できる企業や技術者も、また少ないのが現実だった。一瞬たりともシステムのダウンが許されないというのに、金曜日にサーバーが停止して復旧されるのは月曜日と、笑うに笑えないのが当時の実情でもあった。日本で10数年の実績を積んできた同社にとって、自らの海外進出は半ば必然と言えた。

日系企業が大陸に足がかりを求め始めた2000年代以降、同社がまず選んだのが中国市場だった。現地の信頼できるパートナー探しに2年を費やし、10年に現地の会社と資本提携。海外事業をスタートさせた。日本水準のきめの細かいサービスと高い技術力で瞬く間に日系企業のニーズをゲット。これまでの累積顧客数1,000社は他社の追随を許さない金字塔となっている。

大手ホスティングサービス会社を活用していてはコスト的に見合わない小さな依頼でも、臨機応変に積極的に応じた。メールアドレス一つから、月額2,000バーツからのリーズナブルな価格設定。それでいて、ローカルのベンダーでは容易には提供できない高いセキュリティと安定したサービス。24時間のサポート体制。日本人を窓口に置き、言葉の壁を生まない工夫も選ばれる理由の一つとなっている。

タイ、マレーシア、ベトナムにも進出

こうした中国実績ナンバーワンを引っ提げて次なる照準としたのが、チャイナプラスワンをきっかけに成長著しく発展に向かう東南アジア諸国だった。一つ一つの人口や市場規模は小さくても、10カ国を一つの市場とみれば6億人の巨大マーケット。中国やインド、EUの各市場に引けを取らない可能性と将来性を秘めていた。15年末のASEAN経済共同体(AEC)の誕生などがこれを後押しした。

まずは11年、マレーシアのクアラルンプールに、次いで13年、バンコクに現地法人Future Spirits Thailand Co., Ltd.を立ち上げた。両国とも経済成長著しく、所得の上昇などからも今後の市場拡大が見込まれていた。加えて、優しくて温かい親日の国民感情。多くの日系企業が現地法人を構え、多くの旅行客が足を運んでいた。ASEAN攻略の突破口として最良の選択と考えた。

中でもタイは、自動車を中心とした日系企業が巨大なサプライチェーンを構成し、それを取り巻くさまざまな各種サービスもあって、駐在員とその家族の生活を支えていた。一時滞在者も含めれば10万人を超える中核都市並みの市場規模に、潜在する需要は無限にも感じられた。折しも、当時は未曾有の大洪水からの復興期。水に浸かってシステムを失ってしまった企業各社にとって、これほどバックアップの重要性を認識した出来事はなかった。同社が求められるゆえんでもあった。

進出から5年が経ち、現地法人の事業も軌道に乗ったかに見える。モノづくりを支える製造業向けサービスと、在タイ日本人らの暮らしをサポートする小売業向けのそれが2つの大きな事業の柱となっている。前者はメールサーバ、ファイルサーバ、バックアップなどが需要の中心、後者はキャンペーン用ウェブサイトの構築などマーケット寄りの依頼が多いという。産業から生活まで。硬軟織り交ぜての幅広い対応に、顧客からは「困った時はフューチャースピリッツへ」の声も寄せられるようになった。

「次なる目標は、数年以内に東南アジア諸国に一つずつ足がかりを作ること。各国で均質のサービスが提供出来る体制を作りたい」と谷孝氏は静かに語る。その一つ目が、民主化によって今後に大いに期待が持てる隣国ミャンマーだ。日系企業の進出も徐々に始まった。2017年、ヤンゴンに調査員を派遣開始。現在は、将来的な事業可能性など市場動向の調査を進めている。

工業化の著しい成長国ベトナムの商都ホーチミンでも、本年4月から現地法人が営業を開始する。同国は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)にも参加し、高い成長戦略を描く国の一つ。豪州や米州大陸との貿易が増せば、自ずと産業の集積地としての成長にも拍車がかかる。すでに、その利を見越してベトナムに拠点を構え始めた日系や外国企業も少なくない。

夢はそれだけでは終わらない。「現在は日系企業が顧客の中心となっていますが、いずれは世界全域に羽ばたきたい。世界中の企業が当社のサービスを利用してもらえたら、こんなに嬉しいことはありません」と話す谷孝氏。その表情は、学生時代に事業を立ち上げた若きベンチャー起業家の笑顔そのものだ。

会社情報

会社名 Future Spirits Thailand Co., Ltd.
住所 54 BB Building 14th Floor, Room 1402, Sukhumvit 21,Klongtoey-Nua, Wattana, Bangkok 10110
お問い合わせ先 Tel:02-261-2297  E-mail:support@future-s.co.th
担当者名
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