各種FA用センサの需要増進 販売拠点設立でタイ市場拡大
生産工程の自動化には、人の目の代わりとなるセンサが不可欠。今後、さらなる市場の拡大が見込まれている。各種センサの開発、販売を手掛けるオプテックスグループ(小國勇社長、本社:滋賀県大津市。東証一部上場)傘下にあって、オプテックス・エフエー(中島達也社長、本社:京都府京都市)は品質管理やファクトリーオートメーション(FA)用の光電センサ、変位センサ、画像センサ、画像処理用のLED照明や非接触温度計などを製造、販売している。今年8月にはタイに販売拠点を設立し、本格営業を開始した。中島社長に市場の展望などを聞いた。
好調なFA向け事業
オプテックスグループは防犯、自動ドアなどの各種センサを扱うオプテックス(上村透社長、本社:滋賀県大津市)、画像検査用LED照明の開発、製造を行うシーシーエス(大西浩之社長、本社:京都府京都市)、そしてオプテックス・エフエーの3つの会社が根幹事業を担っている。オプテックス・エフエーは2002年にオプテックスから産業用光電センサ事業を分社化する形で設立され、同社のセンサは部品の通過検出や外観検査、溶接の状態確認など、幅広い分野の生産工程で採用されている。特に、食品の賞味期限などの印字検査機は出荷台数世界NO.1という。また、ドイツの産業用センサ世界大手のSICK AGと技術提携し、1987年からOEM供給。品質に磨きをかけ、ノウハウを蓄積してきた。
各産業界が自動化に取り組んでいることもあり、目下の業績は好調。今年の上期(1月~6月)の売上高は前年同期比16%増の42億7,000万円。グループ全体の22%を占める。中島社長は「私どもの新しい商品、商流が受け入れられています。まず昨年販売した変位センサが非常に伸びています。また、FAで非常に需要が多いと分かり、今年、オプテックスから事業移管を受けた非接触温度計も伸びをけん引しています。商流では、代理店との合弁だった中国の拠点を100%子会社化し、中国事業が貢献しています。アメリカも現地法人を設けて売上が伸びています」と話す。
その中で、オプテックスのタイ法人として既に開設されていたオプテックス(タイランド)内に販売部門を新設する形で、オプテックス・エフエーの拠点を設立。本格的な営業に取り組みだした。アジアでは、韓国や台湾などでは代理店のみで展開している。中国、アメリカに次いでタイが3番目の自前の拠点となった。「タイはたくさんの日系企業が進出しています。他の国と比べると主な競合が日系しかおらず、価格的、性能的にもアドバンテージがあります。また、人件費も上昇、品質に対する要求も厳しくなり、従来のレベルの自動化だと難しくなってきています。自動化の需要が近年、急激に高まっており、市場が大きいということで決断しました」と中島社長は背景を説明する。
タイでも、光電センサや変位センサ、画像センサ、非接触温度計、画像装置用LED照明など日本と同様の製品を展開する。また、ロボットピッキング用の3Dビジョンシステムも販売を推進する。これまでの2Dカメラではできなかった高さと位置の同時認識が可能になり、不定形ワークのバラ積みピックングに最適となっている。
タイを東南アジアの拠点に
タイの尾西MDは市況について「今まで人海戦術でやっていたような検査を自動化したいという要望が多いです。麺製品、冷凍食品関連の工場自動化の引き合いも最近いただいています。自動車産業はもちろんですが、食品関係も伸びてきています。食品は日本への輸出も多いですし、タイは自動車だけでなく食品産業の拠点にもなっていくのでは」と語る。食品産業は「今まで機器の問題などで進んでいなかった側面がある」(中島社長)と、これから自動化の推進が期待される分野の一つ。製品に万が一のことがあれば人の命に関わるため、多くのセンサが必要になる。日本はもとより、タイでも市場開拓を目指す。
もちろんタイだけを見ているわけではない。中島社長は「東南アジアの市場自体大きいですが、我々としてはタイで成功体験を積み重ねて、食品や自動車で成功したアプリケーションを次のベトナム、インドネシア、フィリピンなどへ展開していきたいと考えています。展開というのは販売、ノウハウだけではなく、FTAを利用して実際にタイから商品を出荷していくところまで考えて拠点を置く決心をしました。FAの将来性でもタイは非常に重要です。タイでノウハウなどを蓄積し、展開していこうと思っています」と話す。
タイ進出は昨年9月ごろから検討を始め、1年後には拠点設立に至った。既にオプテックスが現地法人を設立していたとはいえ、そのスピード感には目を見張る。日系、外資系電機メーカーなどでFAに携わってきた中島社長自身、2016年の入社。今年3月に社長に就任した。「グループ全体で売上が約400億、従業員が2,000名弱。上場もして決して小さな会社ではありませんが、個人の裁量に任されている部分が大きく、ベンチャー企業としての考え方が社員に根付いています。決断が早くできます。そういう意味で、“ちょうどよい”会社です」と中島社長は評する。
かつてない追い風活かす
中島社長は前職含めて30年近くFA業界で働いてきた。勤務地も中国やアメリカ、シンガポールなど多岐にわたる。センサの今後に関して中島社長は「センサと言ってもホコリや温度の影響を受けます。そういった外部の影響を受けていることを自ら知らせたり、センサがもっと色んな情報を発信していく世界になっていきます。さらには、センサ自身の予知保全ができるセンサを出していくことが重要だと思います」と見る。
FAを天職とも語る中島社長をして、現況を「かつてない追い風が吹いています」という。少子高齢化に伴う労働力問題、自動化による品質の安定、加えてAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)など、新たなテクノロジーが生産工程に活かされようとしている。まさに、モノづくりのあり方が変わろうとしている。「この力強い追い風に乗って事業を拡大できる確信を持っています。ただし、追い風に乗れる事業と、乗り切れない事業はどうしても出てきます。それらを選択、集中して伸ばしていくことが使命だと思っています。具体的には、グループとして2019年に売上500億を標榜しています。その中で、オプテックス・エフエーが売上100億、20%は最低限やり遂げたい。今のところ上方修正できるくらいの勢いです。そこをベンチマークとして、200億、300億とFA事業を育てていきます」と意気込む。
会社情報
会社名 | OPTEX FA Co., Ltd. |
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住所 | 90 CW Tower(Tower B)Unit B 1702, 17 Flr, Ratchadaphisek Rd, Huai Khwang, Bangkok 10310 |
お問い合わせ先 | Tel:02-168-3162 Fax:02-168-3163 |
担当者名 | 尾西 E-mail:hiromasa-onishi@optex-fa.com Mobile:097-053-0832 |