タイ企業のBEST INSULATION & ACOUSTIC CONSULTAION（以下、BIA）は、建物の遮熱、防音、防水工事などを30年以上にわたって手掛けてきた。タイの気候を熟知し、高い品質の施工で信頼を重ね、一般の住居、工場やビルに留まらず、タイ国内外の国際空港やスポーツ競技場などの公共施設、映画館やショッピングモールなどの大型商業施設も手掛け、現在までに実績は多岐におよぶ。最近では日系企業の工場でも受注を重ねている。

時間とともに傷み始める工場

1960 年代から始まった日系自動車メーカーのタイ進出。系列部品メーカーがそれに続き、1985 年のプラザ合意以降は、急激な円高の影響を回避するため、多くの企業が海外展開。タイにも多くの日系企業が工場を開設していった。2000 年代以降は、2 次下請けメーカーらも積極進出。その間、アジア通貨危機などを挟みながらも、タイの自動車産業は拡大の一途を続け、アジア有数の生産台数、産業集積を誇るまでになった。1954 年に 30 社でスタートした盤国日本人商工会議所は今では 1748 社を数え（2017 年 4 月 1 日現在）、在外日本人商工会議所としては世界最大規

模に。そして製造業が 4 割以上を占めている。

タイは一年中気温が高く、強い日差しに晒される。建物のコンクリート、鉄骨なども劣化しやすい環境にある。特に風雨にさらされる屋上はなおさらで、開設から 15 年～20 年経った工場では、雨漏りなどに悩まされるケースもあるだろう。万が一、製品や機械に水が落ちれば影響は大きい。

BIA では、セラミック系の塗料を使った屋上コーティングを手掛けている。高い日射反射、吸収率を備え、太陽からの赤外線をシャットアウト。室内温度を低減させ、エアコンなどの電気代も節約。省エネを実現する。防水性もあり、雨漏りを防ぐことも可能。さらに同社では、5 年の保証を付けているというから驚きだ。

また、BIAが屋根裏及び室内の温度軽減処置工事に用いるポリエチレンを使った断熱材「PE」は、表と裏は熱を反射するアルミニウム、内部は架橋化（クロスリンク）ポリエステルで構成されている。上部のアルミニウムは上からの熱を反射し、下部のアルミニウムは放射熱が地上の作業スペースに到達するのを防ぐ。軽い上、優れた断熱性能を発揮する。工場内の室温が低下すれば、ワーカーの作業効率の上昇も期待できる。また、冷房コストを削減でき、スコール時の雨音も軽減する。アスベストなどの有害物質もゼロ。一般のポリエチレンより、耐久性能も高いという。BS476 規格対応。

特徴の一つが、現状の天井の下を覆うようにも設置できるため、既存の断熱材を撤去する必要がないことだ。古くなった断熱材がはがれかけている箇所に部分的に施工することもできる。工期が短く済むため、生産活動への影響を極力抑えられる。断熱材の厚さは 10mm、15mm、20mm、25mm から選択可能となっている。断熱材は関係会社で製造しているため、コスト競争力も高い。

試験導入、5 年保証も可能

取締役として同社をサポートする中谷光典氏（バーン・ナカタニ、オーナー）は「BIAは大手建設会社の仕事も請け負うなど、ローカル企業に対しては非常に実績を持っています」と話す。「タイには開設から 15 年、20 年経っている工場が多い。多くの工場では断熱材にグラスウールを使っています。傷んだグラスウールを撤去、廃棄するには施工するより費用が掛かります。倉庫なら 24 時間作業しているわけではないので、PE を張る時間は十分にあります。ただ、24 時間稼働している工場など、工事に時間がかけられない場所なら、コーティングによる屋上補修で済ませるケースもあります。ある程度の長い年数が経った建物はメンテナンスが必要です。雨漏りしている場合もあります。その際に、遮熱効果もあるコーティングを要望される企業様も多いです」。

5 年保証に関しては、「最初、私はずいぶん反対した。大丈夫なのか。大変だよ、と。でもオーナーが言うんだから」と苦笑しつつ、「お客様も我々も納得しない仕事はやらない、というつもりで彼らと日系企業との仲を取り持っています」と語る。

同社は試験導入にも応じている。「PE」の施工なら、工場や倉庫の一角の 100 平方メートル程度を無料で施工する。効果を実感した上で全面導入となれば、試験導入した面積の料金も合わせて請求する。「額が大きいと、日本に決裁権があるお客様もいらっしゃいます。その時に、既にこういった効果が出ています、という方が本社に話しやすいのではないでしょうか」と中谷氏は話す。試験導入した企業は現状、すべて受注に結びついている。ただ、予算の関係で最長 1 年ほど待ったケースもある。「息の長い仕事です」と中谷氏。

最近は労働環境の改善を目的とした引き合いも多いという。「労働環境に関する目が厳しくなっています。今までは暑いのが当たり前という感覚だった。でも、それだと人が集まらなくなってきた。例えば普段、倉庫に人はいないけれど、荷物に出し入れで作業する時、従業員から“暑い”というクレームが来るケースもあります。倉庫にクーラーを導入するわけにも行かず、我々にお声がかかりました」（中谷氏）。タイは失業率が低く、転職も頻繁に行われる。ワーカーは、より働きやすい場所を求めている。ウィチャイ社長は「暑さや騒音など、従業員の労働環境改善にぜひお試しください」、中谷氏も「興味をお持ちになられた方は、ぜひ一度テストをしてみてください」と呼びかける。

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