泰日工業大学 ものづくりの教育現場から

第112回 『拡充した社会人課程』

タイでのものづくり教育を進める泰日工業大学(TNI)の例をもとに、中核産業人材の採用・育成について検討します。
⚫2022年7月11日安倍晋三元首相のTNI追悼式を行いました。この式典は、元首相の死去に謹んで哀悼の意を表すると共に、TNI役職員、学生、そして保護者一般に元首相のTNIに対する貢献を再認識させる機会になりました。
⚫TNIおよび親機関のTPA (泰日経済技術振興協会)は、祖父・岸信介元首相の時から安倍家との良好な関係(安倍晋太郎元外務大臣・奥様のTPA訪問・昭恵さんのTNI訪問など)を築き、特に2007年のTNI開学式では、当時安倍元首相は第一期首相になられた時でしたので、ご自身に代わって森元首相が出席され、安倍首相揮毫の扁額「泰日工業大学」を贈ってくださいました。
⚫TNIには、2013年1月第2期首相時を含めて数度訪問いただきました。そしてTNIと日本のいくつかの大学との協約(MOU)を積極的に推し進めて下さいました。また卒業生の就職などで日本企業にも支援の声をかけられ、さらにTNI図書館などで、TNI学生に激励されていたのが印象的です。
⚫本稿では、日系企業の従業員教育に好評で要望が強く、本年拡充した社会人教育課程を簡略紹介させていただきます。詳細はTNIホームページなどをご参照ください。ご活用を期待しています。

TNIの学士資格を短期間で得られる社会人教育9課程

刻々と変化する経済社会状況とコロナ禍での生き残りなどを考慮し、日々頑張っておられる貴社社員の皆様の能力向上を支援、土日とオンラインを中心にした社会人コースで、最低2年半で学士資格が与えられる、現代企業が必要とする産業技術を実践的に学ぶ9つのコース (課程) です。 以下は、背景と全体特徴です。
•日系企業他の方から社会人教育の具体的アドバイスを頂き、TNIの親機関であるTPAの50年にわたる経験と、TNIの15年の日系企業ニーズに応えるものづくり人材教育に基づく学生指導経験を合わせて、現代世界が求めている企業に必要な産業人材養成コースです。
•各コースは、基礎科目と必修専門科目から成りますが、機材・ワークショップ・勤務先の課題解決に取り組む実践的な内容です。
•短期間で資格取得:語学力及び知識経験とカリキュラム単位取得状況により、通常の4年でなく2年半で修得できます。
•2022年6月前期開始ですが、10月中旬から開始の後期入学も可能です。
•1コースの授業料は14-18万バーツです。

TNI社会人教育9課程の学習内容

1.工学部・ロボティクス・リーン自動化工学(RE) Robotics & Lean Automation Engineering 従来の生産工学をさらに需要の高い標記テーマに改訂。製造工程設計・カイゼン、マニュアル式・自動式生産システム管理、金型などを含む工作機械設計、工場管理、高性能数値制御(CNC)設備・機材などを使った実技演習などを含む生産技術システム、生産プロセスにおける問題解決の知識とスキルを学びます。
2. 工学部・産業工学 (IE) Industrial Engineering 生産現場で実際に使用される機器やツールを使い、より深いIEと経営知識とスキルを学びます。生産計画、生産プロセスの改善、物流管理を含む品質管理の理論と応用を学びます。
3.情報技術学部・情報技術学(IT)Information Technology コンピュータ・プログラミング、経営とデータベース設計・コンピュータ・ネットワーク、マルチメディア、コンピュータ・グラフィック、広報、顧客(関係)管理やウェブサイト上のサービスなどの分野に、情報技術知識の応用を含む経営のためのデータ処理などをテーマに学生を訓練し、現代企業に必須な能力を付与します。
4. 情報技術学部・ビジネス情報技術学 (BI)Business Information Technology 情報技術の進展は、ビジネスや経営に益々重要な役割を果たすという認識の下、国際計算機学会(ACM)の理論知識を実践的な訓練に統合する標準カリキュラムに基づいて設計、学生に情報技術、特にビジネス情報技術について設計、分析、データ処理、管理に焦点を当てた知識とスキルを付与し、企業や工場の課題に対応できるようします。
5.経営学部・技術・生産革新管理学(MI)Technology & Production Innovation Management 技術と生産革新を合わせて学び、またビジネス開発で日本の「ものづくりの考え方」を現場に適用します。生産管理、品質管理、資本管理、人事管理、物流、サプライチェーン管理、組織分析などの経営スキルを学びます。これらは、特に製造業の組織経営に重要で、履修者は各課題に対応できるようになります。
6. 経営学部・会計学(AC)Accounting 管理会計、財務会計、会計情報という会計技術の3つの柱を提供。またBOI、日本の会計、所得税、金融、国際会計慣行などの個別分野でタイ語、英語、日本語を駆使できる会計専門家のニーズに対応。更に、ものづくりの考えに基づき、理論と実践を重視し、TNIの広範なネットワークから会計事務所などの産学連携インターンシップ研修を受けます。
7.経営学部・日本的人事管理学(HR)Japanese Human Resources Management 企業の要望をもとに、特に経営知識と人事管理と開発に関し、労働倫理や道徳などの課題に理論面と実践能力、さらにこれらの知識を活用して工業製品を効率生産する能力、英語と日本語のコミュニケーション力を付与します。
8.経営学部・ロジスティクス・サプライチェーン管理(LM) Logistics and Supply Chain Management 物流サービスを開発する総合過程や、システムやプロセス、リソース配分を効果的に分析する能力を含む、生産をサポートする最適化された支援操作に焦点を当て、物流とサプライチェーンの包括的サービスにおけるプロジェクト管理の理論と実践の両方を可能にする人材を育成します。
9.経営学部・デジタルマーケティング学(DM)
Digital Marketing インターネットやIT技術など「デジタル」を活用したマーケティング手法(ビジネスDM戦略と方法)を学習・実践します。

2022年9月12日掲載

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