タイ版 会計・税務・法務

【第61回】 出張ベースでのタイでの労働について

Q:弊社はタイにすでに法人を設立し、日本人駐在員も派遣しているのですが、日本法人からも営業支援として出張ベースで人員を派遣できないかと考えています。こういった対応は可能なのでしょうか。

A:タイで労働する外国人は労働許可証の取得が必要とされていますので、仮にそれが出張ベースだったとしても、労働許可証の取得を行うのが原則的な対応になります。一方で、BOIの投資奨励を受けていない会社を前提にした場合、労働許可証の取得を行うためには最低でも外国人1人当たり『タイ人4人の雇用』と『200万バーツの資本金』が必要とされるなど、実務上は難しい対応になるかと思います。

この点、タイ国は短期間かつ緊急の業務であることを前提に、労働許可証の取得をすることなく、一定の届出(『緊急就労届』)だけでタイで労働することを認めています(※1)。恐らく御社のケースでは、こちらを実施することが現実的ではないかと思われます。

Q:『緊急就労届』の実施制限などはあるのでしょうか。

A:当該届に関する説明文(※2)を見る限り、期間・頻度などを基準とする実施制限は明文化されていない模様です。一方で、当該届出が『本当に緊急であるのか(前もって予定された予定ではないのか)』『申告者の参加が本当に必要か』といった点に照らし、たとえ初回の申請であったとしても申請が受理されない可能性も十分にあります。

Q:仮に『労働許可証』も『緊急就労届』も提出せずに従業員を勤務させた場合、どのようなペナルティが課されますか。

A:法令上、個人は『5年以下の懲役又は2,000バーツ以上100,000バーツ以下の罰金もしくはその両方(※3)』、法人は『(その勤務させた外国人従業員)1名につき10,000バーツ以上、100,000バーツ以下の罰金(※4)』のペナルティが課されるとされています。

(※1)在タイ日本国大使館ウェブサイト参照。

http://www.th.emb-japan.go.jp/jp/mamechishiki/wp.htm

(※2)タイ労働省ウェブサイト参照。

http://www.mol.go.th/sites/default/files/downloads/pdf/form_tt10.pdf

(※3)外国人就労法第51条①

(※4)外国人就労法第54条

 

なお、本文書は一般的な検討を行ったものであり、個別のケースで問題が発生した場合には、多くの場合関連法規の検討や専門家のアドバイスが必要となります。そのため、本文書の著者及び所属先は、本文書の掲載内容に基づいて実施された行為の結果、並びに誤情報及び不備については責任を負いかねますのでご了承ください。

 2014年6月

 

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