タカハシ社長の南国奮闘録

第51話 親父の復活

以前、私の親父が癌になり、大好きだったゴルフが出来なくなったという話をここに書いたが、その後、なんと癌が消えて通院の必要もなくなり、ゴルフも再開できることになった。御年75歳の復活である。

そんなことがあるのかと、本人はもちろん周りもびっくりしている。驚異的なスピードで回復した親父に、担当医師も「薬が効いたのですかね?」と尋ねていた。

やったことと言えば、医師の治療を毎月ちゃんと日本で受けたことと、健康食品を飲み続けたことぐらいである。あと加えるとすれば、まだまだ商売をしたいという気持ちがあったことか。これらが相乗効果を発揮したのかもしれない。

この1年間、親父は日本とタイを頻繁に行き来していた。目的は、もちろん治療を受けることだが、同時に中古機械の仕入れもこなしていた。さらに、そうした生活を続けるうちに切粉の圧縮装置に目をつけ、仲間と共に設計・製作を始めた。

癌と診断されて随分たってからのスタートである。余命いくばくも無いと一度は診断された人のできることではあるまい。もし自分であれば、どうしただろうか。その立場にならないと分からない。

以前、ある会社の偉い方から、癌に効果的なものの一つは免疫力だと聞いたことがある(その会社は免疫力を高めることに力を入れていた)。確かに、健康食品を飲んでいたのは、自然治癒力を高め、免疫効果を上げるためであった。その免疫力と気持ちが合わさって、病気を退治したのだろう。

免疫力を高めるには、笑いと笑顔も大切だ。微笑みの国タイに移り住み、年々笑顔が素敵になり、良い歳の取りかたをしている方も多いかと思う。親父もそのうちの一人なのだろう。75歳でここまでハードな仕事をこなせるのだから。

母が亡くなって3年。一般的に、男は妻に先立たれると早いという。親父が癌になって、やはりそういうものなのかと思っていたが、それを乗り越えて、しかもますます元気になって仕事に専念する姿に尊敬の念を抱いている。

後日談だが、ゴルフ再開の知らせとともに体調を崩したとの情報が入った。心配して連絡すると、3日連続で違うゴルフ場のコースを周り、疲れが出たとのこと……。

私が自然治癒力と免疫力に興味を持ったきっかけは、タイでの事業立ち上げの最中、血圧が正常値をはるかに超えて医師から薬を処方され、一生薬を飲み続けないといけないと言われたことだった。

海外で健康を損なうことは、大きなリスクとなる。それを機に健康や健康食品についていろいろ研究してグループ会社で扱うようになり、健康管理の呼びかけをしている。

それより何より、長生きしてくれることに本当に感謝です。

高橋 弘茂
名古屋市中川区の精密加工部品メーカー『TEKNIA』の4代目。1969年愛知県生まれ。1989年に同社の前身『高橋兄弟鉄工所』に見習い入社。現場経験を積んだ後、『Yamazaki machinery UK ltd』などを経て2001年8月『タカハシテクニア』代表取締役就任。現在はVITPROJECT (THAILAND) アドバイザーを勤めるほか、マネジ個性学コンサルタント(セミナー開催)なども手掛ける。
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