日本の通信大手NTTドコモとタイの大手商社ロクスレーの合弁通信企業「Mobile Innovation Co.,Ltd.」が、タイにおける新たな自動車安全運行の実現に大きく寄与しようとしている。従来のドライブレコーダーだけでなく、顔認証技術を組み合わせた「居眠り防止・脇見運転検知端末」の実用化である。バスやトラックなどの運送事業者向けに止まらず、一般の乗用車ドライバーにも搭載を広く訴えていくとする。同社が提供する車載端末は種類を問わず、ほぼ全ての車種に後付けでの装着が可能。目指すは、事故のない新時代のタイの街づくりだ。
提供するのは、ドライブレコーダー、居眠り防止・脇見運転検知端末、それに全地球測位システム(GPS)デバイスなど。このところのドライブレコーダーの市場価格の低下で、ドライブレコーダーの普及率は高まった。4~5年ほど前までは1万バーツほどしていた標準タイプものが、3分の1から機種によっては4分の1前後にまで価格が下がっているのだという。
しかし、ドライブレコーダーは、あくまで事故発生後の記録でしかなく、交通事故予防にはつながらない。そこで、ドライバーの表情を読み取り、目を閉じていたり、視線の先が上下左右に向かっている時などは、アラーム音や「注意してください」「集中してください」などの音声で運転者に知らせる端末のサービス提供を進めている。昨今、日本やタイでも事故の大きな原因となっているスマートフォン(多機能携帯電話)の手元操作も対象となる。
居眠り防止・脇見運転検知端末が撮影した情報は、接続された通信端末装置を通じてオンラインでクラウドセンターに集められるなどして、事後の解析にも役立つ。事故の原因が自身の脇見運転やスマホ操作だと分かるようになれば、自然と抑制にもつながる。すでに一部で運用が始まっており、商用以外にも個人使用での需要が広がるとみている。
先進国を中心に成熟した車社会では、安全運転がドライバーの最大の関心事。事故への危機意識や運転マナーが向上していくことで、全体の交通事故件数も減少へと転じるというのが国際的な理解だ。「タイも間違いなく、その方向に向かっていく」と担当する大島良輔マネジャーは解説する。「その普及に一役買いたい」とも語った。
GPSや各種センサー、クラウドシステムを活用するなどして、これまで各種車両運行管理システムや勤怠管理システムなど次々と新規サービスを提供し続けてきた同社。安全運転にかかる新たなサービスの開発で、さらなるビジネス環境も整備されていくとみられている。
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