成果の出る現場カイゼンを製造業に提供 日中タイで累計2000社以上の実績
中国の上海に本拠を置き、中国に進出している日系企業を対象に「現場カイゼン指導」を月10~20件のペースで取り組んでいる日系企業「生産、物流現場カイゼン研究会(a-Sol)」がタイに進出。生産、物流現場のカイゼン指導を始めた他、同社が設計、開発、生産しているESD(静電気)対策機器をタイのEMS、電子機器組み立てなどの工場向けに販売開始した。a-Solグループが中国を含むアジア各地で現在まで様々なカイゼンした企業の累計は2,128社にも上る。「おかげさまでタイでの出足も順調。様々な現場カイゼンが求められているタイでは生産効率を上げたい、品質をなんとかしたい、管理者育成を取り組みたいと本気で考えている工場からのSOSに応じて、効果・結果の出る指導をしていきたい」と門脇圭代表は語る。
国情に合わせた柔軟な指導を意識
門脇代表は2003年に「生産、物流現場カイゼン研究会(a-Sol Shanghai)」を設立。2007年の香港に法人を設立し、2012年6月に株式会社a-Sol Japan、13年10月16日には生産現場、物流現場の生産性向上と物流の効率化等の普及、促進を目的に一般社団法人「生産、物流現場カイゼン研究会」を日本に設立。同氏が理事長を務めている。そして2015年5月1日、「生産、物流現場カイゼン研究会バンコク支店a-Sol (Thailand) Co., Ltd.」をバンコクに設立した。
同研究会ではトヨタ自動車のOB約10名が在籍しており、トヨタ生産方式(TPS)をメインに、生産効率を高めるTPM(Total Productive Maintenance)など顧客の現場で困っていることを解決し、効果を必ず出すカイゼン指導を特色にしている。
バンコク支店を設立したきっかけは、顧客である日系大手電機メーカーからの“タイ工場でもカイゼン指導して欲しい”という要請だった。中国支店が「カイゼン」を指導してきた企業には電気電子関連が最も多く、次いで自動車、アパレルの順で食品や中国のローカル企業の風力発電といった分野の企業も手掛けてきた。門脇代表は「業種業態にかかわらず、多くの現場からSOSが来ている。完全雇用に近いタイでは離職率の多さやホワイトカラーの人材育成に悩む会社が多い。カイゼンの基本や考え方には、国や地域、人種による大きな違いはないが、タイの国情、事情に合わせ、各現場に合わせた柔軟な指導を心がけている。昔ながらの強烈な指導はここでは全くマッチしない」(同)と語っている。
タイでも毎月無料現場診断を実施
バンコク支店では現在、毎月5社限定で「現場カイゼン」に向けた無料現場診断を実施している。まずは送られてくるチェックシートの質問に回答。その後、その内容に基づいてさらに詳しい内容をヒアリングするためのヒアリングシートが送られてくる。それらを記述すれば、おおよそどんな問題があり、真因が何かわかる仕組みになっている。この点が多くのカイゼン実績を誇る同研究会の肝のようだ。その後、無料現場診断実施となる。
無料現場診断では特に問題とされている点を重点的に診断する。多くの問題はその部門や製品などの局所的なことではなく、会社全体の仕組み、やり方、考え方に起因するとのことだ。当日はナショナルスタッフの管理者に集まってもらい、彼らの考え方や現在の抱えている問題点、その解決方法をヒアリングしていく。「多くの現場ではコミュニケーションが不足しています。現場管理者と現地経営管理層との間には考え方、方向性の隔たりがあり、現場運営をしていく上で弊害を生んでいる」と門脇代表は話す。
そして後日、無料レポート「無料現場診断報告書及び提案書」を進呈する。無料レポートには、現場でのカイゼン方法やそのカイゼン事例、ゴールまでの道標が書かれている。また、診断時の問題点なども実際に現場で撮影した写真を通して指摘されている。この無料レポートの説明会までも実施するなど、手厚いサポートとなっている。ここまでが無料サービスとなっているそうだ。
その後、継続指導の必要な生産現場、物流現場にはトヨタ自動車OBの中から、最適な指導者(これを「カイゼニスト」と言う)を派遣し、継続的なカイゼン指導を行っていく。
タイなど「生産、物流現場カイゼン研究会」のグループ各社のオフィスには、スタッフが座る机に仕切りなどがないだけでなく、引き出しもつけていない。これも「問題点が一目で理解でき、異常事態がおきれば全員の協力体制がすぐに作れる」(同)など、TPSの考え方に基づいた管理方法を自社内でも取り入れている。
ESD(静電気)対策機器を開発、発売
同研究会(a-Sol)の活動は生産、物流現場カイゼン指導が中心だが、中国では2010年から電子機器などの製造工場向けのESD(静電気)対策の機器を自社開発して発売している。
中国の日系企業の顧客から、電子機器の誤動作や破壊などの原因になる静電気破壊を発生させない仕組みをシステム化してほしいという要望が多かったことから、中国支店で自らそれを設計、開発。ゲート一体型の静電気チェック/入室制御システム「Sems(シームス)」として生産、販売している。そして、タイでも輸入販売を開始した。静電靴とリストストラップの静電気検査は同時に実施でき、各作業員の静電気検査履歴/入室履歴はExcelへの出力で参照できる。今までは、手書きで静電靴やリストストラップのチェック完了を管理していたが、これではエンドユーザの監査では合格しないことが相次いだ。そのため、いつ、誰が、どこで、といった検査履歴をシステム化したものが多くの現場から要望され、Semsがそれを実現した。
次世代モデルのSems2では静電チェッカーとゲートを一体化させているため、 省スペース化も実現している。実用新案認可済で「これまでに世界で100台以上を販売し、自動車関連企業やEMS、半導体関連企業が多く進出しているタイ国内から数多くの引合いを現在いただいています」と門脇代表は説明する。
門脇代表は1973年に東京・清瀬市生まれ。16歳だった1989年に「地球の裏側を見たい」とブラジルに留学。1993年にアメリカ・サンフランシスコで勤務し、1994年には日本に戻って東京・葛飾区の製造業で働いた。その後、再度海外に出て、マレーシアのビデオデッキや車載用CDデッキ、CD-ROM製造の約3,500人の工場で勤め、1997年に同工場のGMに抜擢された。「生産計画から購買、資材、営業などの対外折衝を広く担当した。このときの経験が現在まで生きている」と門脇代表は感謝する。
門脇代表は中国の他、日本とタイも担当して飛び回る。「各国には私がいなくても回る責任体制を構築しているのでプロジェクトの遅延などの問題は起きない」(同)。
また、2017年6月から芝浦工業大学の特別講師に就任している。7月には上海交通大学出版社から生産、物流現場カイゼンに関する書物の中国語監訳出版もされている。また、タイ最大の財閥であるCPグループがタイで経営しているPanyapiwat Institute of Management (PIM)大学が芝浦工業大学と提携している関係から、芝浦工業大学からタイに研修に来る日本人大学生とPIMの学生たちに、TPSの基本、生産現場カイゼン手法などを昨年から講義している。
実際にタイ国内の生産現場に行き、タイ、日本の学生たちにどのようにすれば生産性が高まり、品質があがるのかなどの講義、実施指導を行っている。「毎年多くの学生さんがタイの学生さんとのカイゼン活動で多くの刺激を受けて帰国しています。そしてその経験が就職活動に反映されているようです」と語る。
無料現場診断に関しては、毎月限定5社とのこと。現場で抱えている問題が多くカイゼンが進んでいない会社、他社の視点で現場を見てほしい会社があれば早めに同研究会に問い合わせをされてはいかがであろうか?
会社情報
会社名 | a-Sol(Thailand)Co., Ltd. |
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住所 | 446/18, 2nd Fl., Park avenue building, Sukhumvit 71 Rd., Phra Khanong Nua, Wattana, Bangkok 10110 |
お問い合わせ先 | Tel:+66-2-136-7806 Fax:+66-2-136-7820 |
担当者名 |