高い画像処理技術持つ外観検査装置メーカー 今後の導入ニーズ見込み進出

1998年に設立されたDECSYS(デクシス、社長:関忠男、本社:千葉県船橋市本町2-1-34船橋スカイビル、資本金1億円)は外観検査装置を製造しており、画像処理とシステムの双方で高い技術を持つ企業。昨年10月に20期を迎え、従業員数は約60人。日本の山形県寒河江市に従業員数20人ほどの工場があり、京都府京都市には開発拠点を置いている。さらに初の海外活動拠点として昨年7月3日付けでタイに進出、バンコクのスクンビット通りソイ23のジャスミンタワーの28階に現地法人であるデクシス・タイランドを設立した。

当面は自動車向けシャフト検査機などに注力

デクシス・タイランドのCEOは日本本社の関忠男社長で、社長は本社執行役員・管理本部長の須貝康雄氏が務め、須貝氏は毎月タイを訪問している。タイ唯一の日本人常勤者である佐藤海智人マネージャー兼取締役は、すでに客先からの問い合わせ対応や代理店との顧客回りに忙しい日々を送っている。佐藤氏の他、アシスタントリーダーと営業補佐として日本語検定を保有する2人のタイ女性と経理、サービスエンジニアを担当する計4人の女性従業員がいる。

日本のデクシスが製造販売している外観検査装置は薬の容器・注射器など医薬・医療資材向けが7割を占め、他は自動車向けなどに使われる金属部品やペットボトルの食品容器を中心に導入実績がある。昨年7月には人型の外観検査システムである「外観けんた君」を発売した。「外観けんた君」は触れれば止まる安全機能障壁を下げ、人との協働が可能。欠陥だけを検出できるアルゴリズム=マルチベクトルサーチによって製品特有の段差や明るさの変動、刻印などの背景に対しても柔軟に対応する。

デクシス・タイランドでは(1)画像処理装置の製造、販売、エンジニアリング、(2)画像処理外観検査システムの開発、製造、販売、エンジニアリングを事業内容としている。汎用画像処理メーカーと異なり、外観検査に特化したカメラ、アルゴリズムも保有し、タイ市場向けの金属部品外観検査機を開発していく。まずは自動車市場向けにシャフト検査機、金属全面検査機に注力する。他の業界向けでは困難な傷・打痕の検査を、油が付着した状態でも実現した。これらを主軸として、他のユーザーの要望も吸い上げながら専用検査機の開発を進めていきたいと考えている。

デクシスでは5年ほど前から外観検査装置の注文がタイからあった。そこでタイに進出するかどうかの検討を2015年から始め、市場調査なども行い、取引先である医薬メーカーを見学したこともある。その中で、タイでは外観検査はまだ目視検査がほとんどの現状で、今後の外観検査装置の導入ニーズは高いと感じた。人件費も高騰してきており、目視では人件費がかさみ、欠陥品を見逃すケースもでてしまいがちで、客先信用を落としかねない。

将来的にタイで自社工場の設立も検討

2年前にタイで外観検査装置の組立で必要になる部品加工をしてくれる日系メーカーを探す過程で、ナノ精密(大石修寛社長)と出会った。2004年に設立された同社はバンコク郊外のサムットプラカン県のバンプリー工業団地で精密シャフトなどを生産しているフォーチュンクロス・タイランド(原広行社長)の商社部門。オフィスはフォーチュンクロス・タイランドの社内にあり、フォーチュンクロス・タイランド製のシャフト販売を中心として、各種ファスナー(金属止め輪類)や金属材料の輸入販売などを行っている。ナノ精密は2017年にデクシス・タイランドに20%の出資で資本、販売提携をした。ナノ精密で現在、とりわけ勢いがあるのが選別事業部の仕事で、出荷前の全数選別というカテゴリーで対応できる製品の拡充を進めていた。今回のデクシスとの提携により、「ほぼすべての顧客の要望に対応できるようになった」とナノ精密の大石社長は胸を張っている。

ナノ精密が最初に日本製の非破壊式過流試験機「FTSエディーワン」を導入した時、この試験機のタイ総代理店になった。その後、最大4つのCCDカメラを使って300RPM程度の高速選別に対応するVISION画像選別機の販売も開始。選別サービスにも事業を拡大した。それに次ぐのが今回のデクシスとなる。組織、材料の確認(FTSエディーワン)や、寸法異状や変形、ミックス品対策(VISION CCD CAMERA選別機)が出来ることに加えて、「対応に苦慮されている外観検査の自動化を可能にしたことが今回の提携の大きな成果」と大石社長は説明する。

デクシスの外観自動選別機も出荷前の100%外観検査機の1台としてフォーチュンクロス・タイランドの工場にも設置中。「従来から扱っている各種非接触全数検査に加え、金属加工品の傷などを見るデクシスの全数外観検査システムの販売開始でユーザーが安心して納入できるサービスが提供できる」と大石社長は話す。

デクシスではこれまで山形県の寒河江市にある工場で製品の組立を実施して来たが、今年6月には山形天童事業所として、新工場が完成、稼動させる。タイでは当面、日系2社の協力工場での組立生産に頼るが、タイで自社工場を持つ方針があり、今後数年以内に実現させる計画。このため日本のデクシスでは昨年4月に初めてタイ人従業員を採用した。リョウタンヤラット・ウォラワット氏(28歳)で、タイの大学を卒業後、日本の大学院に留学し、デクシスに入社した。デクシス・タイランドの佐藤マネージャーは「まずは『外観検査と言えば、デクシス』がタイで浸透するよう提案を広げたい」と希望している。

 

DECSYS (THAILAND) CO., LTD.

2 JASMINE BUILDING, 28th Floor,( ROOM D ) Soi Prasarnmitr ( Sukhumvit 23 ), Sukhumvit Road, North Klongtoey, Wattana, Bangkok 10110

Tel:02-258-0680 Fax:02-612-7399  http://decsys.co.jp/

 

会社情報

会社名 DECSYS (THAILAND) CO., LTD.
住所 2 JASMINE BUILDING, 28th Floor,( ROOM D ) Soi Prasarnmitr ( Sukhumvit 23 ), Sukhumvit Road, North Klongtoey, Wattana, Bangkok 10110
お問い合わせ先 Tel:02-258-0680 Fax:02-612-7399
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