最新鋭旋盤「XT-6」とエンシュウ社製「WE30Ve」コラボ コロナ後の自動化需要に挑む

CNC旋盤の高松機械工業株式会社は、欧州、米州、アジアに展開する大手メーカー。産業が集積する東南アジアのタイには2003年8月に拠点を構えた。市場の成熟とともに繰り返し求められてきたのは産業の成長に欠かせない自動化や省力化。その折々で同社製品は、現地のモノづくりを根底から支えてきた。再来年はちょうど20年目となる節目の年。コロナ禍明けのタイの製造業が本格始動を始める時期とも重なる。顧客ニーズに応えたフレキシブルな対応で、さらなる市場の開拓と提案型の営業に挑む。

一台の工作機械のよう

バンコク東郊サムットプラカーン県の本社兼展示場。ここで新しいマシンの展示がこのほど始まった。6インチチャックのコンパクトCNC旋盤の最新モデル「XT-6」。よく見ると、そのすぐ右脇にマシニングセンタ(フライス盤)が並んで配置されている。2台のマシンは内部をコンパクトローダーで連結され、さながら一台の工作機械のようにも見える。タイで試みの始まった、メーカーの垣根を超えた新しい協業ソリューションのカタチだった。

マシニングセンタは、日本でも取引実績のある工作機械メーカー「エンシュウ株式会社」(浜松市)が開発製造した。コンパクト・高性能で知られる自動搬送装置内蔵型マシニングセンタ「E-Loader WE30Ve」。一台のマシンのように見えたのは、縦横高さのサイズが近いことに加え、外観をオレンジのタカマツ・カラーで統一したためだ。タイ工場で現地生産するエンシュウが、提携にあたってシンボルカラーの一致を請け負った。

ドイツ展示会が原点

両社のコラボレーションの原型は2年前、ドイツで開催された展示会にあった。今回同様、「XT-6」と「WE30Ve」をドッキング。旋盤で金属素材を削った後に、そのまま穴開けなどの工程にスムーズに移行できる点に、来場者の関心が集まった。今まで二人以上の作業員が必要であったところが一人で可能となり、しかもそれが自動で行えるというメリットが話題を呼んだ。世界各地のモノづくりの現場でヒットする予感があった。

タイで同じ取り組みを始めたのは、当地に広がる自動化・省力化の需要がなお健在なためだ。タイ法人の山下英二Managing Directorは「タイ市場の自動化はまだ道半ば。潜在的なポテンシャルは大きい」と指摘する。コロナ禍でワーカーの勤務が制限されるなど、多くのメーカーにとって人を介さない自動化・省力化は喫緊の課題として再認識された。「ローカルのタイ企業を中心に、提案型の営業スタイルでニーズの掘り起こしを進めていきたい」と山下MDは語った。

際立つカスタマイズ性能

他社メーカー製のマシンと容易にコラボレーションができるのは、同社製の旋盤が多彩なオプションとの連結にも強く、カスタマイズ性能が際立っているためだ。後付けも簡単な小回りの利くマシン。全世界での販売実績10,000台のXシリーズだからこそできた試みでもあった。

精密CNC旋盤「XT-6」は、従来機よりX軸、Z軸の早送り速度を向上させたことにより、加工時間短縮と生産スピードの向上を実現させている。また、仕様に合わせてローダの選択ができることも、多彩な工作を可能とした。しかも、機能はそのままで、省スペース化も実現。市場開拓の新たな切り札とされてきた。  チャックのサイズを一段引き上げた兄弟機「XT-8」のタイ市場投入も、今春の日本発売から時を経ずして始まった。多彩なラインナップで、一気に市場をつかもうという狙いだ。ニーズが高まる今だからこそできることを、タカマツ・タイは始めようとしている。

「悲観はしていない」

エンシュウ社とのコラボレーションは、両社ともに現地法人をタイ国内に置き、専任のスタッフを配置しているという共通点があって初めて可能となった。往々にして突然襲ってくるアクシデント、マシンのトラブル。旋盤、マシニングセンタのいずれにあっても短時間で対応しなければならない。加えて、日本語、タイ語、英語によるサポートは今では必須の体制。日ごろから構築してきたこうした取り組みと体制が、一見容易でも困難な他社との協業を実現させた。

双方の営業・技術担当者が、セールスやサービスを補完し合えるのは最大の利点と考えている。各社が持つ顧客を相互にフルサポート。売り切りで終わりとしないことで、これまで以上の信頼を勝ち取ることができる。タカマツだけでも営業担当者4人(うち日本人1人)、テクニカルサービス担当者7人(同1人)と厚い陣営を誇る。これを自陣、相手方へと機動的に送り込むことで、顧客満足度の向上につなげていく戦略だ。

「コロナ禍で見えるようになった一歩先の生産現場のあり方を提案していきたい」と山下MDは語る。クラスターの発生で操業停止を余儀なくされた、受注が減ったなどの声は耳にするものの、一方で新たな自動化への息吹きも感じ始めている。「悲観はしていない」。視線の先は、1年、2年後のアフターコロナに注がれている。

2021年11月1日掲載

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