Hola! メキシコ日系進出通信

第16回 メキシコ公式規格や輸出入について(1)

今号と次号の2回に分けて、メキシコ公式規格や輸出入などについてご紹介させていただきます。

メキシコ公式規格とは、韓国KC安全認証や、中国CCC認証などと類似しており、メキシコに於いて法的強制力を有する規格です。メキシコ公式規格は、安全や効率に留まらず、製品・サービスや人・動植物・環境などのあらゆる対象にとってリスクがある場合に、これらを強制的に規制して保護するものです。  一般的に「NOM」というアルファベット3文字で表されることが多く、「Norma Oficial Mexicana」の頭文字から来ています。  メキシコ公式規格は、メキシコで活動するアメリカ・日本などの外資系企業にとって、「輸入時に制度の対象となるNOM」は、マイナスの意味での影響は甚大です。  内容として、メキシコ側輸入品の場合、NOMの該否判定は、基本的に輸入通関の際にHSコードで判定されます。  従来は、NOM規格取得品でなくても、例外事由として特別に許可されていた自社利用目的での輸入ですが、2019年6月3日以後、自社利用目的の輸入であってもNOM規格適合品が必要と厳格化されました。  一例を挙げますと、工業炉一式を日本から輸入したとします。後に燃焼用バーナーの中に組込まれている安全弁だけ輸入しようとすると、NOMに抵触するためNOM規格品でないと輸入できないことになります(安全弁はNOMの取得が必要ですが、あくまでもメキシコ側輸入時のHSコード8桁で判断されるため、安全弁の全てが規制対象になるとは限りません)。  軸受の呼び番号や電動機の枠番号、安全弁も多くは配管径によって規格が統一されていますが、NOMに抵触する製品で、且つ製造メーカにより取り合いが異なるものであれば調達が大変困難になります。  NOM規格の取得も容易でなく、費用も時間も多くを要することから、メキシコ向けで一定の販売量が見込めなかったり、日本国内の機械装置メーカ様に納入している部品サプライヤさんで、最終稼働地がメキシコと把握していない場合も考えられ、NOM規格の取得申請は、UL規格やCE規格とは異なり見送られがちというのが現状です。  他方で、2019年6月3日以後での外資系自動車関連企業様の混乱が想定以上に大きいことから、工業用途の自社利用目的に限っては、一部品目は、NOM規格取得品でなくとも輸入できるように再度緩和されている動きもあります。

次号では、通関士の免許がメキシコ国籍保有者のみに付与されて、且つ20年以上試験が実施されていない、実質的に世襲制となっているなどの独自性がある、メキシコの輸出入 (貿易) を中心にご紹介させていただきます。

2020年01月01日掲載

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